コラム・エッセイ
AIの詫び状
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子AIの能力拡大がすさまじい。コンピューターの性能向上が進み、いずれ人間の能力を遙かに超えて、コンピューターに支配される時代がやってくるという。それでも人間の考えたものが人間の命令や判断を超えて勝手に行動することが自分の生きている間に実現するとは考えていなかったが、そうなりかねないと思えるような状態になっている。
1年半ばかり前、突如(のように)現れた生成AIという魔法のようなコンピューターソフト(アプリというのかな?)。紹介されてからひと月ほどの間にあらゆる分野に、それこそ社会の隅々まで広がり浸透している。「私の代わりにこんなことをして欲しい」とお願いすれば、世に溢れる情報を電子のスピードで取捨選択してあっという間にまとめ上げ、並の人間では及ばないレベルの資料を作ってくれるというのだから、誰だって、使わざるを、頼らざるを得なくなる。
実際そうなることが多いらしく、課題レポートづくりに苦労している学生たちばかりでなく、学術資料や議会討論の答弁書作成にまで使われて、膨大な文書作りに連日徹夜作業を強いられていた人たちを救っているようで、最近では官公庁、自治体の公的文書の作成を生成AIにさせることもあると伝えられている。
そういえば近頃では、何か調べようと検索すると「何でも聞いて下さい。生成AIがお答えします」と表示されて、質問を打ち込むとすぐさま見事な文章で回答が出てくる。
これは便利と何でも質問すると、飽きることなく、いやがることなく丁寧に答えてくれる。しかも(今のところ)無料だ。これは便利、こんないいものはないと思ったが、いつもそうではないこともある。やはりまだまだ注意が必要だと思い知らされたことが先日起こった。面白かったので、ご紹介する。
つい先日のこと、関係している事業で法規制に係わることを調べる必要があり、たぶんこうだが、念のため今をときめく生成AI様のお答えをお伺いしようとネット検索で質問を打ち込んだ。
すぐに回答があったが、回答は自分が思っていたものと異なっている。「ええーっ!!間違っていたのか?」と驚き、でも納得できず聞き返した。「法律ではこうなっているのではないですか?」ほどなく回答があった。
冒頭「申し訳ありません。誤りがありました」とお詫びの言葉から始まる回答。思った通りの内容で、納得の結論だったが、これが何の予備知識もない質問だったら、回答を疑うことなく取り入れて、とんでもない結果を招いたかもしれない。
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AIの詫び状 回答を生成しています… |
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危ない危ないと胸をなで下ろしながら、世界を席巻しているかに見える生成AIもまだまだ人間様を超える域ではないなと、妙な安心を憶えた。
後期高齢者の指摘に詫びを入れるようでは、プロ棋士でさえ教えを乞う将棋AIが藤井名人には及ばなかったのも無理はないという、納得の一話。
(カナダ友好協会代表)
