2026年05月02日(土)

コラム・エッセイ

病は気から

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 「病は気から」昔々の日本社会で体調不良を訴える子どもたちが家庭で学校で職場で、大人達や先輩達から聞かされてきた常套句。

 かつて日本国の中曽根首相が医療施設を視察したとき、病床の患者に「病は気からと言います」と声をかけ、大ブーイングが起こった事を記憶している。

 この首相には何の悪意も、病気になったことを叱咤するつもりもなく、病床にある患者を純粋に励ますつもりで、ご自分も聞かされて育った言葉を思わずかけたのだろうが、言葉通りに報道されると、病気になったのは心が弱いからだ、降りかかった困難は精神力で乗り越えろと言ったのだと批判されることになった。全く不本意なことだっただろう。

 「病は気から」は言い換えれば「マイナス思考は(体の)健康を害する。プラス思考は健康に良い」ということで、そう受け取れば至極真っ当に思えるが、良い言葉も、言う時と場所を考えずに使われるととんでもない誤解を生むという好例になった。

 「病は気から」はどこかの権威者の言葉ではなく人の世の歴史の中で導き出された教訓で、健康問題は精神力で解決出来ると言っているものではなく「マイナス思考は健康に良くない。プラス思考は健康に良い」と受止めれば、いつでもどこでも人の世に通じる考えだと思う。

 ネット検索すると神経系が免疫系に調節作用を持っていることを表わすということのようで、ますます納得と合点していると、例によって自説を挟むわがつれ合い。

 「思考することが体の健康に影響を及ぼす。あまりの悲しみに体調を崩すことはある。でも大抵の場合、体調の悪い時はろくな事を考えない。周囲の情報の中から自分にマイナス作用のあるものばかりを取入れてマイナス思考になる。体調の良いときは自分の行動に良い情報を取入れ、プラス思考になり、行動につながる。マイナス思考が体調不良を起こし、プラス思考が体調を良くするというのは自分の経験では逆だと思う。

 体調不要がマイナス思考を、体調良好がプラス思考につながる。だから、体調不良なときに仕事の判断をしてはいけない。人の評価をしてはいけない。精神的ストレスを問題にするよりも体調管理に気を配ることの方が大事。何をおいても健康第一なのだ」と力説するのを聞くと、なるほどそうかなと思えてくる。

 腰痛の持病持ちの身で、時に一歩を進めるのも辛いことがある。そんな時には普段気にならないことに妙にイライラしたり、あと残り少ない人生を意のままにならない体で不安のうちに過ごすことを想像したりしていることがある。

 「自分がマイナス思考になっているときには、体調不良を疑い、人が妙に不機嫌に見えるときはあれこれ原因を詮索するより、体調が悪いのだなと気遣うのがいい。心の健康も大切だが、体の健康がまず大切。日々健康第一に行こう」。それも良い考えだと思う。参考にしよう。

(カナダ友好協会代表)

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