2026年04月30日(木)

コラム・エッセイ

治療と予防

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 健康長寿はみんなの願い。今日の元気が支えるあした。後期高齢者と言われる身にとって日常生活で大切なことは「転ばぬことと風邪引かぬこと」こう念じ、周囲との茶飲み話や打合せにも互いに確認し合って別れているのに、やってしまった。

 夜半目覚めた室内で周囲を探りながら注意して歩いたつもりなのに。転倒。起き上がり、その時は何事もなかったように寝床に戻り再び寝入ったが、数日間痛みが残った。頭を打った気がして、今ここが壊れては大変と脳神経外科に飛び込みMRI検査を受けたが、これはセーフ。一安心と周囲にも報告し、平常生活に戻っていたが、背中に痛みは残る。

 普段の運動不足のせいで打ち身の筋肉痛が快復しないのだろう、リハビリが必要と整体院でマッサージを受けたが、背中の痛みは増すばかり。ならばと訪れたクリニックの診断は脊椎の圧迫骨折。高齢者の健康記事でよく目にする単語だ。かくてコルセット装着直立ロボット生活となった。

 腰掛けることも思うに任せず、手に持ったものを落とそうものなら拾い上げることも出来ない。今まで不自由なく出来ていた動きを禁じられ、しなければならないことをほとんど出来ず、まだ達者な口だけを頼りに、スタンドで支えたスマホに語りかけて連絡を取り合って用を果たしている。

 こんな状態であと数カ月と思うとあれこれ気になることばかり浮かんできて、ネガティブ思考になりそうで心配。このままずっと快復せず寝たきり生活になってしまったらと考えると気が滅入ってくるが、発達著しいAI活用技術のお陰でAI制御介護ロボットが何でも助けてくれる時代が来るかもしれない。

 そうなるように産学政総力を挙げて開発に取組んで欲しいし、こちらもロボット購入資金を蓄えておかなければと思いを馳せる。一方、もともと転ばなければこんなことにならなかったのだから、圧迫骨折になって痛い思い不便な思いをしながら医療産業力に身を委ねて快復のうれしさを待つより、転ぶことへの警戒心を常に緩めず、転ばないように足元の安全確保、手摺り設置など転倒予防策をとっておけば、痛い目に遭うことも、経費や時間の損失もなく、周囲に負担も掛けず日々が過ごせたのだったと気付く。

 ことが起こってからの対策・治療は必要だが、起こらぬように予防することが出来たなら、時の流れははるかに平穏になるだろう。世界の営みも同じで、周辺国と争いが起こることを心配し、起こっても負けないよう相手を撃破できるようにと備えることも気になることだが、そんな争いが起こらないよう予防に努めることはもっと大切で必要なことではないだろうか。

 他人と他国と共に過ごす人生と世界。リーダーを自認する人達には、敵を警戒し勝利するために備えることに腐心するのみでなく、お互いが敵となることの予防を目指して良き交流を図ることを求め続けたい。

(カナダ友好協会代表)

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