2026年06月13日(土)

コラム・エッセイ

第四話 サイコロジカルファーストエイドって?

福祉のチカラ ~幸せのありかた~

 災害直後の支援方法の一つに「サイコロジカルファーストエイド」(以下PFA)というものがあります。サイコロジカル=心理的、ファースト=最初の、エイド=支援で、心の痛みに対する支援です。初期段階で施すことができれば、災害体験のトラウマやPTSD(心的外傷後ストレス障害)などを防いだり、軽減したりできます。PFAの基本は「見る」「聞く」「つなぐ」です。相手の様子を「見る」、話を「聞く」、そして必要な支援に「つなぐ」。こう聞けば、「自分にもできそうだ」と思う方が多いのではないでしょうか。

 元日に発生した能登半島地震。発災から1か月が経ち、今まさに、1か月分のストレスの蓄積に対するPFAの支援が必要です。

 ストレスの内容は人により様々。入浴困難、下着の替えの不足、寒さ、他人との共同生活、家に帰れないことへの焦りや落胆。また、認知症の高齢者の行動が気になる、自閉症の方が他人の活動音にわずらわされてパニックになる、乳幼児や小さい子供の泣き声がやまないなど、当人も周囲の人もお互いにストレスが溜まります。

 こうした心の問題に対する支援がPFAで、日本では阪神・淡路大震災を機に重要視されるようになりました。始めは専門家に任されましたが、圧倒的に数が足りない。そうなると現地での互助(ごじょ)が頼りになります。互助は「互いに助け合う」こと。物質的な支援や、医療のような専門的処置はできずとも、精神面(心)をケアし合うことで少しずつでも安心を得られていきます。

 意識するのは「見る」「聞く」「つなぐ」。決して自分だけで抱え込んだり、誰か一人に押し付けるのではなく、できる範囲の「見る」「聞く」「つなぐ」をやって、できないことは仲間の協力を仰ぐ。これこそ一人一人ができるPFAです。

 PFAは支援される側も支援する立場にも役立つ知識と技術です。「見る」「聞く」「つなぐ」を介すると、その場所に必要な支援も具体的になっていくでしょう。子どもが遊べる場所をつくる、更衣室や授乳室を設ける、二次避難所への誘導順と、そこにいる人々の事情を最優先した支援の順番がわかってきます。

 被災者はもちろん、不眠不休のスタッフにも心理支援を。発災以来、地元行政職員や消防、警察等の方々にのしかかっているストレスはいかばかりか…。彼らへのストレスケアも発災1か月後がカギです。

絵:杉川茂

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