2026年09月23日(水)

コラム・エッセイ

第六話 音楽でつながる被災地の輪!

福祉のチカラ ~幸せのありかた~

 今回は東日本大震災・南三陸での活動記録です。発災から5カ月後の平成23年8月、南三陸町地域包括支援センターに派遣され、被災者訪問と避難所の課題解決に当たりました。

 そこの避難所は被災した観光ホテルで建物は大きく、比較的スペースに恵まれていました。が、それによって逆に、被災者は個人個人で孤立していました。

 健康チェックをするだけで自室に戻る高齢者。宴会場を利用し体操するもマンネリ化。阪神・淡路大震災の際、仮設住宅にひきこもることで身体面・精神面が低下し、体調を崩し、最悪の場合は孤独死に至る事案もあったため、その教訓を活かしてひきこもり・とじこもりの防止策を練るのですが、なかなか上手くいかない。この問題を打開すべく私たちは動きました。

 運営は、地元の地域包括支援センターと熊本県の医療チーム、私たち社会福祉士会のメンバー。

 現地では私たち社会福祉士への指示まで手が回っていないので、勝手に歩き回って状況把握に努めました。そこで出会ったのが避難中の地元の小学生3人組。彼女達は吹奏楽部員で、コンクールに向け課題曲を練習中。ただし、練習場所は宴会場のため、高齢者の体操が始まるとよそへ行くと言います。

 私は彼女達をナンパ !? 課題曲以外も演奏できるかを聞くと「楽譜があれば大丈夫です」。高齢者にもわかる数曲の楽譜をネットからダウンロードし、自分の楽器に合った楽譜を作成してくれるよう依頼してみると、快く応じてくれました。

 私たち社会福祉士と小学生による簡易なレクリエーションが始まりました。知っている音楽に高齢者ものってくれ、地元小学生吹奏楽部の演奏と高齢者の歌というコラボレーションが誕生。手話も加え、ちょっとした演奏会になりました。

 口伝えで広がると、参加される高齢者も増え、小学生演奏家も3人から4人、6人と増えて楽しい時間が長くなっていく。私たち専門家の狙いはここにありました。

 災害支援の大切な心構えとして、地元以外の支援は一時的である、ということを忘れてはいけません。いつまでも支援は続かない。地元で助け合い、復興していくことが大切です。今回のケースは、地元の小学生と高齢者を音楽でつなげることで、他の人々にも輪を広げ、ひきこもり・とじこもりの防止策になった一例でした。

 福祉や医療の支援チームはやがて離れていきます。その時までに地元で何ができるかが肝心です。私たちは助けに入っただけなのですから。

絵:杉川茂

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