2026年06月13日(土)

コラム・エッセイ

第七話 支援の弊害 ~濫給漏給とは?

福祉のチカラ ~幸せのありかた~

 今回はすこし毛色を変え、被災地への支援には弊害も起こりうるという話をいたします。それは「濫給漏給(らんきゅうろうきゅう)」です。濫給とは必要以上に支援を提供してしまうこと、漏給とは逆に必要なところに支援が届かないことを言います。

 私が経験した東日本大震災の支援時、発災から1年半後の岩手県大槌町では、濫給の弊害が起きていました。被災がひどかった大槌町には、数百万から1千数百万円の義援金や保険金を受ける世帯が多くありました。

 そこにはもともとの生活保護受給者も多く、もちろん生活保護は停止されますが、支援のほうが遥かに高額のため、以前より生活水準がアップ。本来なら義援金や保険金で2年以上は十分に暮らせるに関わらず、1年半を過ぎた大槌町では、生活資金が枯渇して生活保護を再申請する相談者が増えていました。

 町に1軒のパチンコ屋は平日の昼間から駐車場が満車状態。就労能力のある人々が高額な支援を得ることで働く意欲を失い、働き盛りの年代が1日の大半をパチンコに費やす生活です。過剰な支援は自立意欲、就労意欲を低下させることがあるという現実を知りました。

 支援に入った社会福祉士は、あくまでクスリです。被災地の自己治癒力を補完するものであって、根本治癒をする立場ではありません。発災直後からいち早く被災地に入り避難所設置や人々の心身のケアなどを行います。が、役割としてはクスリなので、地元の人々を再起させた後は引き、その後は地元の力が鍵になります。

 災害からの復興に限らず、社会福祉とは本来、自助、互助(隣近所)、共助(保険のシステムなど)、公助(国や行政)のバランスをとって成り立っています。自助だけでは生きられませんが、共助や公助ばかり頼っても、結果は行政や税金に負担がいきます。

 復興の道のりに大切なのは調整を取ることです。調整には福祉専門職も一役を買うため、一定数の福祉人材を確保しておかねばなりません。特に災害時には福祉専門職の方々自身が被災して職を離れざるを得ないケースもあるため、常日頃から充分な人員配置がほしいもの。

 周南圏域では人材不足で福祉事業所の撤退が相次いでいるのが現状です。福祉専門職と自治体がアイデアを出し合い、早急にこの状況を解決する一手が必要です。

絵:杉川茂

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
出光興産

出光興産徳山事業所は、エネルギーと素材の安定供給を通じて産業や暮らしを支えています。環境負荷低減や安全操業に取り組み、地域とともに持続可能な社会の実現に貢献していきます。

スバル合同会計 周南事務所

相続時や建物の購入売却時の相続税・資産税のご相談。
大切に育てた事業の譲渡や事業の拡大にむけて、複数の専門業者との提携で、お客さまの求める結果を一緒に目指します。

東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。

山田石油株式会社

ソロや友達と過ごす「おとなじかん」から、親子三世代で過ごす「かぞくじかん」も楽しめる日帰りレジャー施設「くだまつ健康パーク」。屋内で遊べる施設や岩盤浴、サウナも充実!