2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

No.11 人生を充実させるご縁

ねえ、ちょっと聞いてよ! 予備校講師 長谷純子

 こんにちは。この冬は地球温暖化の影響もあるのか、「例年よりは過ごしやすかった」という所感でまとめてもいいままで終わりそうですね。関東ではもう春一番も吹いたことですし。個人的には、暖房器具がこたつだけで済んだので、その分、電気代が助かったと小さなことで喜んでいます。

 ところで。皆さんはもし今の記憶を持ったまま過去に戻れたらと考えたことはありますか? もし戻れるとしたら、そもそも戻りたいですか? また、戻れるならいつ頃がいいですか? ちなみに、私は若い頃「高校時代に戻れたらもっと勉強したのに」とありがちなことを思っていました。が、ある時、たとえそれまでの記憶を持って過去に戻っても、元々怠け者の私が過去以上に勉強に励んだとは思えないから、結果は同じだと気づき、しばらく考えることはなくなっていました。

 が、人生も50年以上過ぎ、特に親しい人たちと一緒に飲み会をしていると「過去には戻りたくないなあ、今の人生のままがいいなあ」と思うことが多くなりました。自分の人生を肯定できるのは幸せなことだと思います。こういう心境になれたのは、様々な人との有り難い「ご縁」があったからです。

 大阪から山口に戻ってきた私は、仕事の都合上、実家のある光市ではなく徳山市(当時)に住み始めました。徳山には高校時代に来ていましたが、友人はごくわずかでしたし、私の職場の多くは県外です。だから、戻ってきた当初のままだと私の徳山での生活は一人寂しいものになっていたはずでした。

 実は、私のこのエッセイは、去年まで「釣れ釣れ談義」を連載されていた伊藤氏からの紹介で始まりました。伊藤氏は、若かりし頃の父が釣りをご一緒させて頂いた方で、『サザエさん』のワカメちゃんカットだった、小学生時代の私を知っている方でもあります。(自分の名誉のために蛇足承知で書きますが、ワカメちゃんカットは母の好みであって、私の好みではありません!)で、徳山に帰ってきた直後に、偶然に偶然が重なってまず伊藤氏と再会できました。

 この偶然には、私のことですから、もちろんお酒が絡んでいます。伊藤氏には本当に有り難いことに様々なご縁を繋げて頂きました。その中でも徳山に戻ってからの私の人生の充実には欠かせないご縁が、徳山にある酒販店さんご夫婦でした。この酒販店さんの奥様が関係された大規模ワイン会に伊藤氏に誘って頂いたのです。

 私は“呑み助”ですから、お酒が飲める機会は可能な限り逃しません。このワイン会を契機に、大正時代から続いているという地元の酒販店さん夫婦と知り合い、多くのイベントに参加するようになりました。そうしてこの酒販店さんご夫婦が企画されるワインや日本酒のイベントに参加しているうちに、そこから職業・年齢に関係なく、ご縁が広がっていきました。

 お酒を飲むと一般的に人は心の垣根が低くなりますから、初対面の人とでも親しくなりやすいのだと思います。が、それだけでなく、長く地元でご商売をされていてお客さんも多くいらっしゃるので、様々な方と知り合えたのだと思っています。私が着物の着付けや日本舞踊を始めることができたのもこのご縁があったからです。

 つい最近も、この酒販店さんご夫婦のご縁で知り合えた9人で一人一品のお料理の持ち寄りワイン会をしたばかりです。数日前から持っていくお料理に悩み、当日は持ち寄ったお料理を評しながら楽しくワインを飲む。本当に寂しさとはほど遠い日々を送っています。

 私の今の人生が充実して満足できてるいるのはこういった多くの方との「ご縁」があったからです。地元密着のお店には商品だけでなく、人生を充実させるご縁もあったのです。

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