コラム・エッセイ
No.40 今どきの子ども
ねえ、ちょっと聞いてよ! 予備校講師 長谷純子こんにちは。今、まさに熊本の地震に関する被害状況をテレビで見ているのですが。震源地近くの八代市や水俣市には過去に何回か高校へ小論文の出張授業に行き、宿泊して飲み屋を求めて彷徨ったので、街並みも記憶に残っているだけに心が痛いです。私にできることは寄付ぐらいしか思いつかないんですが。とにかく、一日も早く日常に戻れるよう祈るばかりです。
今回、この熊本地震があった時間は九州で授業をしている最中でした。揺れる前にまず生徒たちの鞄の中から一斉に緊急速報アラームの音がし始め、私だけ状況が分からず戸惑っていると、生徒の一人から「地震だよ!」という声が。その数秒後に確かに校舎が揺れ始めました。ただただ立ち尽くすことしかできなかった私の目の前の景色に突然の変化が。席に着いていた生徒たちの姿が一斉に机の下に消えたのです。ええっ〜〜? 生徒たちの行動の理由が分からず、気持ちは手塚治虫先生が描いた『ブラック・ジャック』のピノコちゃんが叫ぶ「あっちょんぶりけ」です。ムンクの描いたあの有名な「叫び」でもいいです。とにかく私がひたすら驚いていると、机の下から「先生、机の下に潜らないと頭、危ないよ」と声を掛けられ、私も机の下に身を屈めました。
今の子は学校でしっかり地震避難訓練をしているんですね。私が子どもの頃は火災の避難訓練しかなかったのですが。なんにしろ、今どきの子は訓練したことが実際の現場で必要になったら、瞬時に実行できるんですね。これには個人的にむちゃくちゃ感動しました。いくら私に火災の避難訓練の経験があっても、いざ火災に直面したときに訓練通りに動ける自信はまったくありません。多分、右往左往するだけだと思います。本当に見事だったので、数日間、牛が食べたエサを反芻するように思い出しては感動していました。
訓練が実践で生かせる今の子でも、言葉のほうはもうちょっと頑張ろう!です。1学期の終わりにやった小説で、主人公の旧友が意識不明で入院していて、その旧友を懸命に看病する「細君」という話がありました。この小説を授業した後、以前、生徒から「先生、なんで細君は旧友を看病しているんですか?」という質問を受けました。私は「そりゃあ看病しないと世間様から批判受けると思うよ」と答えたものの、質問の意図が分かりませんでした。妻が夫を看病しない状況は少ないかと私は思うのですが。この後にまた「細君って男ですか?女ですか?」と謎の質問があり、私の頭の中に?マークが踊り狂います。そして最後に最も意外性のある質問が。「なぜ中国人が突然出てくるんですか?」と。お分かりになりましたか? 生徒は「細君」は奥さんではなく、「細」という名字の中国人に敬称「君」が付いたものと理解していたんですね。「細君」はもう死語なんです!
ちなみに読書が大好きな私の姪(生徒とほぼ同世代)に確認すると、この姪も知りませんでした。この姪からは「なら太っている人は細君にはならないの?」とこれまた意外性に満ちた質問が出たのですが、「細君」の「細」は「こまかい(小さい)」という意味です。
単語の意味が分からないと、文章の内容を理解できないですよね。受験生が現代文を苦手とする要因の一つに単語力不足があります。文章を読めてしまうから、なんとなく分かった気になってしまうんですね。
そういう単語力の大切さと現代文を解くちょっとしたポイント等について9月に母校の徳山高校で3年生を対象に授業をします!この授業ももう10年以上続いています(コロナ禍の時は除く)。3年の徳高生は文系理系を問わず、ぜひ聞きに来てみてくださいね!
