2026年05月01日(金)

コラム・エッセイ

文月(一)

随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)

 今年も折り返し点を過ぎました。同じように時は流れているのに齢を重ねるたびに歳月の早さを感じるのは何故でしょう。不思議に思います。

 春夏秋冬。美しい四季は日本人の豊かな感性を生み出しました。若葉から深緑へ。梅雨入りすると梅雨明けが待たれます。今年は異例の早さで山口県も6月28日に梅雨が明けました。古希を過ぎた今、生かされて生きてきたことを実感します。人には定められた命があると言われます。その定命がいつなのか、誰も分かりません。

 戦後の団塊世代とほぼ同じ時代を生きてきました。茶の間にラジオが1台。野山を駆け回り、草野球や釣りを楽しみ、日が暮れるまで遊んでいた子どもの頃を懐かしみます。「今一度暗くなるまで遊びたしご飯ですよと呼ばれてみたし」(横浜・近江満里子)。6月18日の日経歌壇に共感しました。

 1956年(昭和31)の経済企画庁経済白書は「もはや戦後ではない」と記しました。池田勇人内閣の所得倍増計画で60年代以降高度経済成長を果たし、国民の暮らしは豊かになってテレビも普及。63年(昭和38)の山口国体、翌年の東京オリンピック、70年(昭和45)の大阪万博と夢が広がりました。中学生から大学生にかけての青春時代です。

 70年代、80年代と好景気によって社会は発展、豊かな暮らしを享受しましたが、92年(平成4)にバブルが弾けて景気は低迷します。これに少子高齢化の波が追い打ちをかけて、国際競争の激化で企業の舵取りも難しくなってきました。

 新聞記者として10年間社会の実相を眺め、82年(昭和57)の徳山市文化会館(現周南市文化会館)開館から39年間、劇場の中から社会との関わりを求め続けてきました。芸術と社会との出合いをいかに作るか、アートマネジメント実践の日々でした。昨年春、劇場を去り、周南文化協会と児玉源太郎顕彰会、さらに山口県文化連盟との関わりの中で人生の最終章とどのように向き合えばよいのか、思いは尽きません。人生は一日一日の積み重ねです。かつて文化講演会でお招きした鈴木健二さん(当時NHKアナウンサー)の言葉を思い出します。「私たちにできることはただ一つ。与えられた日々を一生懸命に生きることです」。

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