コラム・エッセイ
睦月(一)
随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)去年今年貫く棒の如きもの
高浜虚子
大晦日から元日へ。午前零時を過ぎて一日の違いをこれほどまでに実感することはありません。年越しを「貫く棒の如きもの」と捉えた感覚に川端康成は心打たれたといいます。昭和25年の作。暦は令和4年から令和5年へ。よきことがありそうな穏やかなお正月でした。今年はどのような日々が待ち受けているのでしょう。
初暦知らぬ月日の美しく
吉屋信子
俳句を高浜虚子に学んだ作家吉屋信子の一句は新年の清々しい気分を言い得ています。暦を掛け替えながら口ずさみます。今年も百通を超える年賀状が届きました。ひとり一人の顔を思い浮かべて丁寧に読みます。
東京の姉から「現状を日常とし、今年も元気で過ごしましょう」、名古屋の従兄から「年齢に勝てない事柄が増えてきました。一日一日を大切にと言う心境です」、同級生からは「昨年は歴史に残る激動の一年であり、今も続きそうですね。小生、ソコソコ元気で日々すごしています」(高知)、「ひとつぴょん ふたつぴょん みっつぴょ〜んと飛び跳ねてみたら違う景色が見えるかもしれませんね」(広島)、若い頃の新聞記者仲間は「暗いニュースばかり続く中『きっと大丈夫』と思いたい」(京都)、「社会貢献活動を続けておられることに敬服いたします」(広島)と綴ります。
男声合唱団メールソレイネで一緒に歌った友人は「お元気ですか。ゴスペルを歌っています。昨年はコンサートに参加しました」(横浜)、高校PTA活動で意気投合したご夫妻から「いつも優しいお手紙。心が温かくなります。励ましていただき、感謝しています」(光)。周南文化協会でともに活動する仲間は「いつも『日日是好日』をねがっていますが、世の常とはいえ、矢鱈に難題が降りかかって来ます。でも前向き且つ愉快に過ごしたいと念じています」。
心のこもった文章、手書きの一文字一文字からはその人の温もりが伝わってきます。私も百数十枚を差し出します。その人のことだけを思って万年筆で百字から二百字の一文を添えます。相手も齢を重ねていきます。日本舞踊を今も続ける幼なじみが「大切に、大事に楽しんで暮らしたい」と書いているように一日をいとおしむ感覚が分かります。
6日の「寒の入り」とともに仕事も本格始動しました。季節の移ろい、人の温かさを感じながら自らの言葉と自らの足でしっかりと、ゆったりと今年も踏み出します。
