コラム・エッセイ
再々 睦月(二)
随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)季節は「大寒」から「立春」へ。暮の「冬至」を過ぎて毎日少しずつ日が長くなってきました。「日脚伸ぶ」は1月の季語。まだ寒の内ながら1月も末になると春を待ちわびて「畳の目一つずつ」、1日1分ほどの日照の伸びを感じます。
日脚が伸びたと実感するのは2月ですが、俳人の草間時彦は「それを春の季語とせず、冬の季語とした先人の詩的感覚は鋭い」と指摘します。『歳時記』に収められた言葉の豊かさに、日本人の暮しの豊かさが重なります。
新春恒例の「歌会始の儀」が22日、皇居・宮殿「松の間」であり、全国にテレビ中継されました。お題は「夢」。入選者10人の歌には深い情景が詠まれていて感銘を覚えました。
マエストロ
小澤の夢を はぐくみて
楽都となれり 山岳の街
長野県佐久市に住む77歳の金井寛さんの歌。長年エンジニアとして働いて72歳から歌を始められました。世界の指揮者小澤征爾が創設した松本市での音楽祭。その場で音楽を聴きながら街をあげて運営に関わる人たちに接して今や楽都となった誇りを一首に。小澤の夢は音楽を通じて若者を育て、平和な社会を築くことでした。音楽祭は形を変えながらも大きな成果を上げています。
宮中の正月行事は「歌会始の儀」が最後です。読師、召人、選者を置いて長い間、続けられていることに床しさを感じます。来年のお題は「明」。
大正14年(1925)にラジオから始まった日本の放送が今年3月で100年を迎えます。昭和28年(1953)にテレビ放送も開始、昭和39年の東京オリンピックを契機として白黒からカラーテレビの時代に入りました。日本の高度経済成長とともに歩んだテレビ全盛の時代です。近年はインターネットとスマートフォンの普及が人々の暮しを大きく変えました。
昭和20年の敗戦から数えて戦後80年の節目にあたります。戦後生まれの団塊の世代も70歳代後半に差し掛かりました。昭和100年、そして戦後80年。日本人にとってどのような歳月であったのでしょうか。歴史を検証しながら私たちの生き方を考えてみたいと思います。
周南文化協会恒例の講演会は戦史研究家、工藤洋三さんを迎えて「米軍が記録した空襲と戦災―徳山空襲から80年、戦争と平和を考える」。2月11日午後2時、周南市文化会館で開催します。入場無料。お誘い合わせの上、ぜひご聴講ください。
