2026年04月30日(木)

コラム・エッセイ

又 師走(一)

随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)

 「師走」「年の瀬」の言葉に気が逸(はや)ります。今年もあと半月余り。齢を重ねるたびに歳月の経つのを早く感じます。木枯らしが吹いて寒い日が増えました。7日は「大雪」。「今夜は鍋にしようか」。仕事帰りにそんな会話が交わされます。

 寄鍋に睦みて忘る過ぎしこと  鷲谷七菜子

 魚や肉、野菜などを適当に入れて煮込んだ鍋は冬の団欒(だんらん)には欠かせません。同じ鍋をみんなで囲むことからおのずと親しみが湧いて体も温まります。魚介類だと河豚鍋、鮟鱇鍋、牡蠣鍋。鱈も美味しいです。肉を入れると牛鍋、桜鍋(馬肉)、牡丹鍋(猪肉)、紅葉鍋(鹿肉)。しゃれた名前が付きました。それぞれの家庭の味も鍋の特徴でしょう。すき焼き、水炊きなどそれぞれの思い出があります。

 おでん屋に同じ淋しさおなじ唄  岡本 眸

 鍋とともにおでんも冬の定番。串刺しした豆腐をあぶって味噌をつけた田楽から発展したおでん。大根やこんにゃく、ちくわ、はんぺんなどお好みで加えるのも楽しいです。かつては夜の町角に屋台が多くありました。熱燗(あつかん)で暖を取る風情が身に沁みます。若い時は仲間と暖簾(のれん)をくぐり、年老いてはひとり静かにコップ酒をあおります。人生の無常を感じて切なくなります。多くの友も鬼籍に入りました。

 冬の野菜の代表は大根。一年中店頭に並んでいますが旬は冬です。栄養がたっぷり詰まっていて「大根どきの医者いらず」ということわざがあるほどです。ビタミンCが免疫力を高めて風邪の予防にも効果的。この季節には大根干しも盛んで農家の庭先などに真っ白な大根が吊るされた光景は実に美しいです。やがて美味しい沢庵(たくあん)に生まれ変わります。

 遠き家(や)のまた掛け足しし大根(だいこ)かな  松本たかし

 戦後80年。昭和から数えて100年。令和7年が暮れていきます。太平洋戦争を挟んで激動の昭和。世界の潮流から取り残された平成。混迷を増す世界に大きな役割を課された令和。私たちはどこへ向かおうとしているのでしょう。児玉源太郎顕彰会も発足して10年。児玉神社に参拝し、明治の近代化への道に思いを馳せながら私たちの行く末に思案を重ねます。建て替え工事中の社務所が完成し、14日に竣工神事をします。年が明けてまた新たな一歩を踏み出します。

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