コラム・エッセイ
120億円の誘惑
翠流▼山口県周南市のボートレース事業からの繰出金が2連続で38億円になり、この4年間の合計が120億円近くになっている。以前は基金に積み立てて子どもたちのためにだけ使うことにしていたが、この数年は幅を広げていて、有効活用への期待が高まっている。
▼学校給食費や医療費の市民負担をなくし、市民の生活を支援することもできる。市民センターや学校の改修にあてれば、1カ所に4億円でも30カ所の工事ができる。新南陽市民病院を建て替える、計画を策定中の文化小ホールを建設するなど大型事業や、周南公立大の魅力向上など使い道は限りなく広がる。
▼一方で、安定した収入源ではないことへの警戒感もある。この数年は好調なボートレース事業だが、浮き沈みがあったことも事実。せっかく始めた事業を財源不足で取りやめることになっても困る。
▼本来は将来に備えて基金に積み立てるべきお金。いつ起こるかわからない大規模な災害や、災害でなくても最近の物価高騰のような事態も起こる。その時でも、子どものための施策をはじめとした社会福祉や教育などの水準を維持できるようにしておきたい。
▼そうは言っても、市長や市議会議員、市民にとっても、120億円は積み立てておくだけで我慢できる金額ではない。しばらく議論が続きそうだが、財政難をどうするかではなく、繰出金の有効活用をめぐる議論。ボートレースを持たない他市からはうらやましがられるかもしれない。
(延安弘行)
