コラム・エッセイ
林忠彦賞受賞記念展
翠流▼写真の林忠彦賞の受賞記念展が4月26日から5月11日まで、周南市美術博物館で開かれる。今回の受賞作は鶴巻育子さんの「ALT(オルト)」。視覚障害者31人が選んだ好きな場所で鶴巻さんが視覚障害者を撮影した作品▽視覚障害者の「見え方」と再現したイメージ画像▽視覚障害者が街歩きをしながら撮影した作品で構成されている。
▼林賞の選考委員でもある同館の有田順一館長は、かるちゃあ通信花畠4月号に「通観して思うのはこれほど見ることにこだわった写真家がいたのかということ。なかでも、まるで視覚障害者が見ているかのような既視感漂う映像の再現に思わず引き込まれてしまった」とつづっている。最近の受賞作品は、今回の「見ることとは」のように毎回、答えのない問いかけをはらんでいるように思う。訪れた人はこれまで体験したことにない世界にふれることになるだろう。
▼同展は以前、東京でも開いていたが、今は周南市だけ。日本の写真界を代表する賞に育った林忠彦賞の受賞作を見るために、全国から周南市に足を運んでほしいという狙いもある。写真展の期間は大型連休を含む形で設定されている。市外からもたくさんの人に訪れてほしい。
▼しかし、そのための仕掛けはほとんど見えてこない。26日に受賞式、27日に鶴巻さんのトークショーがあるが、大型連休中、美術博物館でも市内のそのほかの施設でも関連企画は見当たらない。「写真の街」としてこれでいいのだろうか。
(延安弘行)
