コラム・エッセイ
駄文でもいいのかしら
晩期高齢者のたわごと 中村光子(周南市有楽町)私の愛読書の一冊に岩波書店発行の“広辞苑”がある。この広辞苑は「今まで勉強させてもらったお礼です。これからは、お母さんが勉強して下さい」と言う、息子からのプレゼントだ。1993年、長いこと学んだ学校を卒業した息子からの贈り物、机上版辞典だ。想像もしない息子の言葉に、私はうるっとした。
“息子より贈呈、感激の母、勉強します”と、辞典の裏表紙に記している。
辞典には1992年第4版第2刷発行とある。貰ったのは翌年の1993年の春だ。子供に勉強せよと言われるなんて思いもしなかった。その後、広辞苑が何回発行を重ねたか知らないが、今もこの辞典を愛用・重宝している。
令和4年12月末、30年間書き続けた駄文“走れ!おばさん”の筆を折った。中島社長が御苦労会をして下さった。その時「今後、月に1回か2回か書かないかね」と言われた。私は即首を横に振った。
今日は令和5年4月22日…。手持ち無沙汰の昨今、中島氏の言葉がよぎる。世間では高齢者を後期高齢者と言う。何歳までを言うのか知らない。
すでに80歳を過ぎた私は、自ら晩期高齢者と名付け悦に入っている。足腰がしびれ、腕の筋肉も落ち、愛読書広辞苑を持ち上げる時、どっこいしょと掛け声が出る。
更に困った事に、最近のテレビや新聞にはカタカナの言葉が多い。無知な私は急いで広辞苑を繰るが載っていない単語が多い。愛読書も私と共に歳を重ねている。幸い、私の机の中には未使用の古いノートがたくさんある。
先日から、そのノートを出し、知らないカタカナ単語を書き写し、意味など調べている。
最初にみつけたのは“アーカイブ”だ。調べると“保存記録”と出た。紙切れに「アーカイブ・保存記録」と書いて、私の目の届く場所へペタペタと貼った。物忘れや記憶力がなくなりつつある昨今だが、横目で紙切れをにらんでいるうちにやっと覚えた。
こんな調子の明け暮れだが…駄文を書いても、いや、書かせてもらえるのでしょうかー。
絵・杉川茂
