2026年07月15日(水)

コラム・エッセイ

(67)花手水(はなてみず)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 コロナ禍で迎えた新しい年は、例年とはかなり違ったものとなった。恒例の初詣も幸先詣(さいさきもうで)や分散参拝が行われたと思われる影響で、参拝者が集中することも少なかったようである。

 周南市宮の前にある山崎八幡宮を参拝した時も、混雑をさけた時間帯ということもあって非常に少ない人数であった。そして、何より目についたのが、境内の各所に設けられていた感染対策であろう。

 マスク着用などの看板や消毒液の設置、密集を避けるための位置マークなど万全な対策が取られていた。これらの風景からは、今まで見たことも想像したこともないほどの特異な雰囲気を感じた。

 参道の石段を上がり注連石(しめいし)をくぐると、手水舎(てみずしゃ)がある。手水舎は、神社や寺院をお参りするときに手や口を清めるために手水を使う大切な場所にあたる。

 その手水舎の中央には水をたたえた水盤が設けられ、普段であれば手水を使うための柄杓(ひしゃく)が置かれているはずである。しかし現在では、感染対策のためすべての柄杓が取り除かれている。

 多くの参拝者に共用される柄杓は、清潔が保たれるよう手順が定められているが、守られないことも多いのであろう。柄杓の代わりに、竹の先から流れる水を直接手で受けるようになっている。

 手水の起源は、参拝前に川や海の水で身を清める「禊(みそぎ)」の儀式が行われたことに始まるとされ、その後、川や海で行っていた禊を簡略化したものとして手水舎が設けられた。

 龍は、水をつかさどる神様として崇められる。その龍の口から流れる水をたたえた水盤には、色とりどりの花々が浮かぶ。この心温まる花手水の他にも、反対側にある手水石などに期間限定で花が飾られている。

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