2026年04月17日(金)

コラム・エッセイ

(14)マムシグサ(蝮草)の実(周南市鹿野) 

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 マムシグサ(蝮草)はその名前が表す通り、毒蛇であるマムシに似ているとされる草である。林や竹ヤブなどの日陰に自生し、5月頃に咲く花はマムシが鎌首をもたげて威嚇しているようにも見える。

 茎の部分は、マムシのまだら模様と見まがうほど良く似ているため、不意に出合うとへび嫌いの人間にとっては、身の毛が逆立つほどの恐怖を受けることになる。

 マムシグサが枯れているこの期間は、マムシも冬眠するため安心して山や藪に入ることができるが、時として異様という言葉がふさわしいと思えるものに出合うことがある。

 枯れ草や落葉の中でひと際目を引いているのが、毒々しいほどの赤色の固まりに見えるマムシグサの実である。トウモロコシ状の青い実が、秋になると熟して赤色となる。

 その幻想的な珍しさにだまされて、その実に直接触ることがないよう注意が必要である。また、草全体が有毒といっても決して過言ではなく、間違っても口にしてはならない。

 最近では、季節の変化が強引で乱暴に感じられるようになった。もしかしたら、三寒四温の言葉のように緩やかに季節が移っていく時代は終わったのかもしれない。

 今年も例外ではなく、秋の風景を楽しめる期間も短く、夏から突然冬の寒さがやって来た。その影響であろうか、木々は紅葉する途中で寒さに襲われて枯れたままの状態になっているものが目立っていた。

 それでも、落葉を踏み込む音が冬の冷たい風に吹き消される中を、周南市鹿野の山に分け入った。

 美しい紅葉は見られなかったものの、枯れ落ちる前のマムシグサの実が静かに出迎えてくれた。

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