2026年07月15日(水)

コラム・エッセイ

(71)アオサギ(蒼鷺)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 如月(きさらぎ)にしては暖かすぎる陽ざしが、風のない静かな川面に降り注いでいた。せき止められた水面では、まるで季節の移ろいを楽しむかのように多くの水鳥が泳いでいるのが見えた。

 全身が黒色で口ばしと額が白く見えるのがおそらくオオバンであろう。茶褐色の頭部が目立つのがヒドリガモのオスかもしれない。その2種類の水鳥が、入り乱れて広い水面を前後左右に動き回っている。

 その様子を、しばらく立ち止まって眺めていると、仲良く一緒に遊んでいるように見えるのは、実はヒドリガモがオオバンの咥えた水草を横取りしているところだと気がついた。

 ヒドリガモは水に潜るのが不得意で、潜れてもせいぜい上半身までである。それに比べてオオバンは水に潜るのが得意で、水中の水草や藻を取ってきては水面で食べている。

 咥えて上がってくるところを待ち構えるようにしてヒドリガモが横取りする。横取りされたオオバンが本気で怒っているように思われないが、それでも離れて潜ろうとするとこに本音があるのかもしれない。

 そんなオオバン以上に潜水が得意な鳥が、カイツブリである。ヒナ鳥かと思われるほど小さな体であるが、水に潜ると10秒以上浮かんでこない。その見事な潜水ぷりには、脱帽するしかない。

 そして水辺で、独特な存在感を漂わせているのが、アオサギである。長い首を折りたたむようにして水面をにらんだまま動かない姿は、まるで仇討をする侍のような迫力が感じられる。

 時々、ヨシの茂みの中でくつろいでいるアオサギの姿を目撃することがある。隠れているつもりかもしれないが、周辺からはまる見えとなっている。その見事な天然ボケっぷりが、なんとも愛らしい。

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