2026年04月23日(木)

コラム・エッセイ

(20)ハルジオン(春紫苑) (光市束荷)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 護岸工事が進む束荷川の源流をさかのぼり、横尾の集落を通り過ぎると、山の中腹に巨大な岩が見えてくる。その岩が観音岩と呼ばれるもので、夕日観音の奥の院となっている。

 夕日観音の由来については、『大和町史』の「民話伝説」に詳しく書かれている。その大まかな内容は、時化(しけ)で方向を見失った船がほのかな光によって救われるといったものである。

 今回は、時化から船を救ったとされる夕日観音があった観音岩を目指した。季節はずれに咲いたハルジオンの花を後にして、夕陽の滝に向かって進むと右側に観音堂がある。

 観音堂には、かって観音岩にあった夕日観音が安置されている。お参りをすませ、堂のそばの「登山道入口」の標示板がある険しい階段から登山を開始する。深く落葉が積もった急斜面の道がしばらく続く。

 途中、シダが生えたあたりから幾分歩きやすくなり、登り始めて15分程度で目の前に巨大な観音岩が現れる。奥の院には、安永年間に寄進された石殿が置かれ、見上げると岩の上にも石仏があった。

 石仏は西の方角を向いており、その視線の先には周防灘の海が見えている。夕日観音の言伝えに思いをはせながら、長い休憩を取り山頂に向う。高度のある山ではないが、それなりに体力と握力が必要となる。

 各所に張られたロープの助けを借りながら、約15分で山頂に着く。夕日観音山や横尾山とも呼ばれる観音山からは、束荷小学校や伊藤公資料館などとともに、周辺の山々が手に取るように見える。

 豊後峰から岩城山、呉麓山、千坊山、鶴羽山、茶臼山、虎ヶ岳などが続く。

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