2024年03月29日(金)

コラム・エッセイ

(7)柚子(ゆず)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 柚子をもらった。黄色く色づいた実からは、柚子特有の心地よい香りが漂ってきた。そして、何より嬉しかったのは、わざわざ葉っぱが付いたままにしてくれた知り合いの心づかいであった。

 その柚子を見ていると、「桃栗3年、柿8年」という諺(ことわざ)が浮かんできた。桃栗3年や柿8年は、それぞれの果樹が植えてから実をつけるまでの年数を言い表わしたものである。

 しかし、ことわざ本来の意味は、果実がなるまでにはこれだけの年数を必要とすることから、何事も一朝一夕にできるものではなく、それなりに時間がかかることのたとえとされている。

 先人たちの知恵には教えられるばかりであるが、桃、栗、柿以外にも、ことわざに登場する果実は多くある。たとえば、柚子に関するものとしては、「柚子は9年の花盛り」や「柚子の大馬鹿18年」がある。

 いずれも開花や結実までの期間を表したもので、「桃栗3年、柿8年、柚子の大馬鹿18年」などのように続けて用いられる。それにしても、柚子の実がなるまでの18年という長さには驚く以外にない。

 柚子はなりにくいという話は、いたるところでよく聞くことがあっても、実際に18年を確認したわけではないので正しい判断はできないが、古くから伝えられてきたことに間違いはないであろう。

 もしかしたら、具体的な数値で表せないぐらいの長い年数だったかもしれない。そのあきれ返るほどの長さに対して、思わず「大馬鹿」の言葉が口に出たとしても、何の違和感もないであろう。

 焼き魚に柚子をしぼっていると、数個の種が出てきた。せっかくなので、この種を植えてみることにした。運が良ければ、9年後の開花と18年後の結実を、確かめることができるかもしれない。

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