コラム・エッセイ
(8) 冬野菜
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)いろいろな種類の野菜がある。それぞれ形も違えば、色も違う。味も違えば、育ち方も違う。それらのひとつひとつを並べてみれば、それぞれの良さを、収穫できた喜びとともに感じることができる。
キャベツの代わりをダイコンができないように、ブロッコリーの代わりをピーマンにできるはずがない。季節はずれのシシトウのロシアンルーレットのようなスリルを春菊では味わうことができないであろう。
その他、この冬に収穫できたものには、チンゲン菜や小松菜、ネギ、冬至かぼちゃ、ニンジンなどがある。葉物には、人力による駆除が間に合わずに害虫の被害を受けたものが多かった。
今年の春から始めたばかりの家庭菜園であり、決して満足できるものを作ることはできなかったが、それでも初心者なりにその季節にふさわしい野菜作りに挑戦してきたつもりである。
そうは言っても、種をまいて育てたものはほんのわずかで、そのほとんどは、店頭で売られていた苗を育てただけに過ぎないのだが。それだけであっても、野菜作りは楽しいと思えることに感謝したい。
その間、野菜作りが決して順調であったわけではない。夏の長雨による日照不足や秋口の害虫による被害など失敗や苦労も多くあった。それらを乗り越えることが必須であることを今更ながら知った。
野菜を作ることによって、季節とのかかわりがより身近になったような気がする。そして、種をまき、芽が出て、花が咲き、実がなることのごく当り前のことの大切さに気付くことができた。
日ごとに寒さが増している。暦の上では二十四節気の小雪に入り、北からは連日のように雪の知らせが届くようになった。つい先日、初霜が見られた周南地域でも、雪が降る日も近いかもしれない。
