2022年01月24日(月)

コラム・エッセイ

(12) シラサギ(白鷺)二

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 古くから、サギ(鷺)は神の使いと伝えられてきた。その理由は定(さだ)かとは言えないが、おそらく、空を自由に飛ぶことができる鳥は、神の世界と行き来できるものと信じられてきたからであろう。

 ところが、サギが具体的にどの鳥を示しているのかについては、曖昧なままになっている。もしかしたら、特定することそのものが無意味であるため、明らかにする必要がなかったからかもしれない。

 特定しないことで神秘性がより高まっていたのも事実であるが、光線の色が白色であることや白い色が純真無垢を象徴した高貴な色であることなどから推測すると、シラサギがその正体であったと思われる。

 しかし、さらに神秘性を深めていたのが、シラサギという名前の鳥がいないことである。今さら、迷惑なことに違いないが、赤トンボというトンボがいないのと同じように納得するよりほかはない。

 シラサギとは、白い色をしたサギ類のことであるが、その代表的なものにはダイサギ、チュウサギ、コサギがいる。チュウサギは夏鳥として飛来するので、冬の期間は当然見ることができない。

 残るシラサギのうちのコサギは、名前が表しているように他のサギに比べると小形である。小形ではあっても、黒いくちばしや足など特徴あるその姿には調和のとれた美しさが秘められている。

 さらに、朝日に照らされた冬の冷たい川の流れの中で、凛(りん)としてたたずむコサギの姿を目の当たりにすると、まるで精霊が宿った鳥であるかのような神々(こうごう)しさが感じられる。

 それは、疫病退散を願う鷺舞などとして奉納されたことや幸せを運ぶ鳥として崇(あが)められていたことを思い起こさせるものでもある。コロナ禍の今、その姿に安寧(あんねい)を願わずにはいられない。(画家)

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