2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

(18) 霙(みぞれ)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 夜が明けても、雨はやむ気配もなく降り続いている。天気予報では、きのうの夕方には雨があがり、その後は曇りが続くとなっていたはずであるが、見事に予想が外れる結果となった。

 特に出かける予定があったわけではないが、一日中降り続いた雨には多少うんざりしていた。しかし、すでに二十四節気の雨水(うすい)に入っていることを理由にして、あきらめるしかないであろう。

 雨水の意味についても「降っていた雪が雨となる」などと書かれていることを読めば、納得できたような気がする。さらに「水がぬるむと言う意味」が続くと、理解が一段と深まっていくに違いない。

 先人たちの叡智(えいち)によって生み出された言葉を思い浮かべながら窓の外を見ていると、何かが雨に混ざっているように見えた。最初は、それが強い風に舞い上がった木の葉のようなものだと思っていた。

 ところが、時間がたつにつれて混ざっているものの量が増えていくようになった。もしやと思い注意深く見ていると、ヤブ椿を濡らしているものの正体が雨に雪が混じった「みぞれ」であることが分かった。

 雪がほとんどとけかけていたので分かりにくかったこともあるが、気温の上昇する昼近くになって雨から「みぞれ」にかわることも非常に珍しい。久しぶりに見ることができた「みぞれ」に思わず胸が高鳴った。

 それは、年を重ねる度に「みぞれ」が好きになってきたからであろう。

かっては、ただ単に雨に濡れるのがイヤだったからでも、傘をさすのが面倒くさかったからでもあって「みぞれ」が嫌いであった。

 そんなわずらわしささえも年を取ると愛おしく思えるようになってくる。雨でもない、雪でもない、どちらとも言えないいい加減さや、雨と雪が混ざった中途半端さが、ちょうど良くなったからであろうか。

(画家)

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