2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

(19)ヒヨドリ(鵯)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 窓の外から、野鳥の鳴き声が聞こえてきた。縄張り争いをしているのであろうか、それともつがいをめぐる争いであろうか、時とともに激しさを増している。鳴き声の主は、おそらくヒヨドリに違いない。

 ヒヨドリ(ヒヨ)は、「ヒィーヨ、ヒィーヨ」と鳴くことから、その名前がついたとも言われているが、その他にも「ピィーピィー」や「キィーキィー」など数え切れないほど多くの鳴き声を持っている。

 今朝の厳しい冷え込みの原因となったであろうと思われる、雲一つない青空を切り裂くように響き渡る「ギィーギィー」や「ギャーギャー」と聞こえる神経質な鳴き声もまたヒヨドリに違いない。

 饒舌(じょうぜつ)でありながらも警戒心が強いため、その姿を近くで見れることは少ないが、それよりも、羽ばたきのあと羽を閉じて、まるで砲弾のように飛んでいく姿は意外と多く見ることができる。

 この冬は、家庭菜園のわずかな冬の野菜が、そのヒヨドリの被害を受けた。特にブロッコリーや菜花の葉が好みらしい。近くには、たわわに実ったクロガネモチの赤い実があると言うのに不思議である。

 クロガネモチの実を食べないのは、美味しくないからだろうと勝手に思っていたところ、衝撃的な光景を目の当たりにすることになった。その瞬間は、何の前ぶれもなく、まさに突然やってきた。

 ヒヨドリの大きな群れがどこからともなく現れると、クロガネモチの木に襲いかかった。攻撃が次から次へと繰り返えされると、あれほど多くあった赤い実が、みるみるうちに少なくなっていった。

 そして、わずか数時間後には、すべての実が無くなっていた。いつの間にか、ヒヨドリの大群もどこかに消えていった。いったい何が起きたのか、起きたことが何であったのか、その謎は今も解けていない。

(画家)

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