2026年07月15日(水)

コラム・エッセイ

(20)メジロ(目白)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 梅の花が咲いている。暦の上では二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」を過ぎて、日ごとに春めいてきた。ここ数日は、4月並みの陽気が続いていることもあって、開花が一気に進んでいるようである。

 数種の梅が植えられている近くの畑では、すでに満開を過ぎて散り始めたものもあれば、まだ5、6分咲きのものもあるなど、この時季にふさわしい風景と香りを楽しむことができる。

 梅の花を見ていると、「チー、チー」と鳴きながら花の蜜を吸っている野鳥の群れに出会うことがある。その鳥こそが、最近ではウグイスと間違えられることが多くなったと思われるメジロである。

 ウグイスとの大きな違いは、メジロの名前の由来となったアイリングと呼ばれる目のまわりの白い縁どりや遠くからでも目立つ鮮やかな黄緑色の羽であるが、それらを知る人も少なくなったのであろう。

 かってメジロを家で飼うことが普通であった時代には、間違えることも少なかったに違いない。さらに、ウグイスが梅の花に来ることがないことを知っているのが、ごく当たり前のことであった。

 その当時は、花札に描かれているような梅の花とウグイスの組み合わせも、いいとこ取りの洒落(しゃれ)で済んでいたはずである。ところが、時代の流れとともに洒落が洒落で済まなくなってきた。

 今さらのように、当時の人がウグイスとメジロを見間違えていたという指摘があるのも、ウグイス色がいつの間にかウグイスの羽の色からメジロの羽の色へと変化したのも、それらが原因と言えるであろう。

 そこで、今こそ、梅の花にはメジロであると、声を大にして言いたい。それは、寒風の中を花から花へと飛び回り、蜂も蝶もいない時期に受粉の役割を果たしているメジロに対する感謝の気持ちでもある。

(画家)

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