2026年07月15日(水)

コラム・エッセイ

(21) 牛島(1)金山

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 室積港発の「うしま丸」で光市の牛島に向かった。今回の目的は、およそ1300年前に記録されていた史跡の現状を確認することであった。それは、長年抱き続けてきた課題の一つでもある。

 そのきっかけとなったのが、『日本書紀』に続く『続日本紀(しょくにほんぎ)』である。その中に、天平2年(730)3月、周防国熊毛郡牛島西汀で銅を産したという興味深い一文が書かれている。

 さらに、試しに製錬したところ用に耐えるので長門の鋳銭に充てたとも記されていることから、良質な銅が採掘されていたことがうかがえる。それにも関わらず、以降の記録はぷっつりと消えている。

 再び記録に現れるのは、江戸時代の1842年に編纂された『防長風土注進案』であるが、すでに、この時には「金山という地あり、是銅の出し所と口碑に残れり」のように言伝えとして残されるだけとなっている。

 金山は「かねやま」とも「かなやま」とも読める。どちらが正しいかは不明であるが、それでも、事前の調べで金山の位置を確認することができた。何らかの痕跡を発見できることに期待が高まってくる。

 わずか20分で牛島港に到着した。すぐに漁港の目の前に見える金山を目指して海岸沿いの道を進んで行く。途中、墓地や廃校となった小中学校の前を通りぬけると、やがて目的地に続く砂浜が目の前に広がる。

 金山周辺での探索では、鉱山などで見られる赤鉄鉱や磁鉄鉱を含む鉄鉱石を採取することができた。残念ながら、銅を産出した場所を特定するまでには至らなかったが、大きな成果と言えるであろう。

 険しい岩場や人を寄せ付けない雑木林などを探索するためには、予想以上の時間と体力を必要とした。これからも、急ぐことなく、焦ることなく、可能な範囲で慎重に探索を継続していきたい。

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