2026年10月23日(金)

コラム・エッセイ

(24)牛島(2) 銅鉱石

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 3度目の渡島を終えて、「うしま丸」に乗船した。夏季期間の4月から、牛島港発の運航時間が30分遅い17時となった船内には、帰省や仕事、魚釣りなどを終えた人々が次々と乗り込んできた。

 出発前のデッキからは、山ザクラと新緑に彩られた御堂山の連なりが、どこまでも晴れ渡った青空の中に広がっている。牛島港灯台の向こうには、今回の目的地であった金山の姿が浮かんで見える。

 当初は、奈良時代の銅産出跡を探索するといった無謀とも思える挑戦であったが、1回目から関係鉱石が見つかるなどかなりの手ごたえを感じていた。2回目には、採掘したと伝わる別の場所の探索を行った。

 そして、3回目の今回は、手ごたえのあった1回目と同じ場所の再探索に挑戦した。その結果、ついに、奈良時代に銅の原料とされていた鉱石の一つでもある酸化銅鉱石(孔雀石)を見つけることができた。

 あくまでも個人的な見解に過ぎないが、銅鉱石を発見できたことは、牛島が銅の産出場所であったことを証明するものであり、不明であった銅の産出場所を、多少の誤差があるにしても、特定できたことになる。

 周辺の状況から推測すると、露天掘りが行われたと思われるが、おそらく短期間で掘りつくされたに違いない。島に伝わる各地の採掘跡が、場所を移動しなければならなかったことを如実に物語っている。

 奈良の大仏に使用したとの言い伝えも、そうした中で生まれたものであろう。金山から産出された銅は、長門鋳銭司(下関市長府)で和同開珎などの鋳造に使用されたものと思われるが、定かではない。

 牛島港を出ると、「うしま丸」は全速力で走り始めた。みるみるうちに金山が、御堂山が牛島が小さくなっていく。その姿に今回の成果が島のために役立つ日が来ることを心から願った。

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