コラム・エッセイ
(27)玉ねぎ(玉葱)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)家庭菜園の最大の楽しみは、何と言っても収穫であろう。決して植え付けや除草などの作業が楽しくないわけではないが、手間ひまかけて育てた野菜がいよいよ収穫出来るともなれば喜びもひとしおである。
多少大げさに言えば、その時があるからこそ幾多の苦労も乗り越えることができると言えるかもしれない。また、手を多くかけたものの方が簡単にできたものよりも収穫の喜びが大きいのも当然であろう。
昨年の秋に苗を植えていた新玉ねぎが収穫の時期を迎えている。時には雪に埋もれながら、時には厳しい冬の寒さに耐えながら、半年以上という野菜としてはかなり長い栽培期間を何とか無事に育ってくれた。
出来ばえは自慢できるようなものではないが、無農薬栽培を目指しているので余り気にしないようにしている。多少形が悪くても、形が小さくても調理されて食卓に上がるころには、味で勝負できる。
新玉ねぎは、辛みが少なく柔らかいため色々な食べ方が楽しめる。料理をしない者が書くことではないだろうが、一番のおすすめは薄切りにしたものを水にさらすだけで食べることができるサラダであろう。
かけるものが何でも合うところが非常に嬉しい。かつお節、マヨネーズ、ポン酢、合わせ醤油など和洋どちらでも良いが、できることであれば、玉ねぎ本来の味を邪魔しないものを選んでほしいと思う。
最近、玉ねぎの価格が高騰しているらしい。中国産の玉ねぎが新型コロナウイルスの影響で入ってこないことに加えて、国産玉ねぎも天候不良で品不足になっていることなどが原因と伝えられている。
茎葉が倒れてきたら収穫の時期と、誰かに教えてもらった。また、茎にトウが立つと味が落ちると聞いているので、晩生と赤玉ねぎを残して新玉ねぎと呼ばれる早生(わせ)の玉ねぎの収穫を急ぐことにした。
