コラム・エッセイ
(39)梅干し
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)梅雨が明けて、夏らしい晴れの日が続くようになると、ようやく梅の天日干しを始めることができる。梅干しにとって最後の仕上げとなる「土用干し」は、良い梅干しを作るための一番大切な作業といえる。
土用干しとは、夏の土用の時期に、対象となるものを干すことをいう。
梅の場合には収穫してビンの中で塩づけにされていたものを、再度取り出して、竹ザルの上に並べて時々裏返しながら夏の日差しに当てる。
暦のうえでの立秋が8月7日となるため、今年の夏の土用はその前の18日間となる。その間に「三日三晩の土用干し」と言われる作業を、急な雨に気を配りながら、夜には家に取り込むなどして繰り返す。
そうすることによって、梅の水分を抜くことができるため、腐りにくくなり長期の保存が可能となる。古くから行われてきた梅干し作りであるが、そこに秘められた深い知恵には、今更ながら驚くほかはない。
さらに、梅と一緒にビンに入れられて赤い色付けの役割をしていた赤シソにも殺菌作用があるらしい。その赤シソを梅と一緒にビンから取り出して乾燥させれば、赤シソのふりかけとして食べることができる。
赤シソのふりかけは、「ゆかり」の商品名で販売されているので、食べ比べてみるのも楽しみの一つかもしれない。年間を通じて品質が安全に管理されている市販品にはかなわないが、手作りの良さは捨てがたい。
「三日三晩の土用干し」が済んだ梅干しは、そのままで保存する方法と漬けていた梅酢に戻す方法とがある。昔は梅酢に戻す方法が一般的な方法であったような気がするが、それぞれの良さがあるのだろう。
梅干しが出来上がるまでには、梅の収穫や塩漬け、土用干しなど意外に多くの手間がかかっている。そこには、単に手数と言うだけではなく、季節との密接な結びつきが残されていることを忘れてはならない。


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