2026年10月23日(金)

コラム・エッセイ

(43)キバナコスモス

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 9月に入ると、いくらか過ごしやすくなった。その理由は、日中は最高気温が30度を越える真夏日があるものの、熱帯のように蒸し暑い夜と言われる最低気温が25度以上の熱帯夜が少なくなったことにあるだろう。

 その微妙な変化を察したかのように、日中や夜なかに聞こえてくる虫の鳴き声も蝉からコウロギに変わってきたような気がする。これこそが、あれこれと詮索することが難しい季節の移ろいと言うものであろう。

 先日、そのことを証明するかのように、新聞紙面に「梅雨明け、実際は1カ月遅く」の記事が掲載されていた。すでに発表されていた梅雨明けの速報値を、実際の梅雨明けの確定値に修正したものであった。

 6月下旬という異常に早い梅雨明けと、梅雨明けの後に続いた天候の不順から修正が必要と思われていたが、まさにその予想通りとなった。その原因については、予測できなかった偏西風の動きだったらしい。

 そんな世間の事情からかけ離れた場所で、鮮やかなオレンジ色の花が咲いている。6月ごろから咲き始めたキバナコスモスは、真夏の激しい日差しにも決して負けることなく11月ごろまで咲き続けるという。

 コスモスの仲間であることや花の色が黄色やオレンジ色であることから黄花(きばな)コスモスと呼ばれているが、同じメキシコ原産でありながら秋に咲くコスモスとは違った雰囲気を強くただよわせている。

 花を眺めていると、どこからともなくアゲハチョウが飛んできた。花に止まった蝶をよく見るとクロアゲハではなくナガサキアゲハのメスであった。特に珍しい蝶ではないが、赤や白と黒の翅の色が美しい。

 ナガサキアゲハの名前の由来については、シーボルトが長崎で採取したからと言われている。医師であったシーボルトには、博物学者として植物や動物を研究するといった意外に知られていない一面もあった。

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