2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

(49)フジバカマ(藤袴)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 最近、急に朝晩の冷え込みが厳しくなってきた。そんな中、秋の七草であるフジバカマの花が満開を迎えている。細い茎につけた不釣り合いなほど多くの筒状の花が、時おり吹き抜ける秋風に優しく揺れている。

 秋の七草は、万葉の歌人である山上憶良(やまのうえのおくら)が読んだ二首の歌がもとになったと言われている。その一つが「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」である。

 古語で指のことを「および」といったことから、「指折り」は「およびおり」と読む。もう一つは、短歌ではなく「萩の花 尾花葛花 瞿麦の花  姫部志 また藤袴 朝貌の花」という旋頭歌(せどうか)である。

 旋頭歌は、短歌が5・7・5・7・7の5句に対して5・7・7・5・7・7の6句となっている。いずれも和歌の一種であった。旋頭歌は奈良時代以降には衰退したとされるが、短歌は生き残っていく。

 旋頭歌には、秋の七草のすべてが詠われているが、分かりにくいものが多い。尾花はススキ、葛花はクズ、瞿麦はナデシコ、姫部志はオミナエシ、アサガオと読む朝貌は諸説ある中で桔梗(キキョウ)が有力である。

 先日訪れた秋吉台では、ハギ、ススキ、ナデシコなど秋の七草を楽しむことができた。しかし、秋吉台にはフジバカマが自生していないことを知らずに、よく似たサワヒヨドリをフジバカマと見違えていた。

 裏庭に植えられたフジバカマの花に、今年もアサギマダラが飛んできた。理由は不明であるが、昨年よりも7日遅い飛来であった。さらに、飛んできた数が1日に1、2頭程度とかなり少なくなっている。

 秋の七草だけでなく、旅するチョウと言われるアサギマダラの姿を見ることが秋の楽しみの一つでもある。地図もスマホも寝袋も食料も持たずに旅をするアサギマダラの姿に、憧れを感じながら眺めている。

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