2026年07月15日(水)

コラム・エッセイ

(50)エビスグサ(夷草)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 先日、豆茶を収穫した。耕作放棄地となっている実家の畑で、自然に生えてきた豆茶を収穫することができた。毎年、他の草と一緒に刈払い機で刈り取っていたが、今年は試しにそのまま残しておくことにした。

 大した理由があったわけではない。どうせ荒れている畑であるのなら豆茶がどうなるかを見届けてみたいという好奇心があったからかも、除草作業の負担を少なくしたいという魂胆があったからかもしれない。

 その後の除草作業でも刈り取りをしないでいると、豆茶は順調に育ち、夏には黄色い花を咲かせるまでになった。そして、いっさいの手入れをしないまま秋になり、気づけば草全体に細長い豆果が実っていた。

 熟した豆果は黒く変色し、触れると中から六角形をした多くの種が弾け飛ぶようになる。すでに黒い実が多く見られるので、大急ぎで収穫した。まだ青い実もかなり含まれていたが、気にしないことにしよう。

 それでも、天日に当てて干せば何とかなるに違いない。しっかり殻が乾いてから、豆茶の実を取り出していく。そこから、いよいよ豆茶づくりの作業が本格的に始まる。味の良し悪しを決める大切な工程でもある。

 豆茶といっても、それがどんなお茶であるかを知らない人も多いに違いない。周南あたりで、普通に飲まれている豆茶の正体はハブ茶であるが、正しくはエビスグサの種を使ったハブ茶というべきであろう。

 エビスグサは、六角形をした種の形から「ロッカクソウ」と呼ばれることもある。さらにその種には、便通改善や目の充血を取る効果があることから漢方薬の「決明子(けつめいし)」として使われている。

 知れば知るほど、エビスグサの優れたところが明らかになってくる。これこそが、過疎地の救世主となる植物に違いないであろう。そこで、収穫した種は、豆茶にしないで来年の種まき用にすることにした。

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