2026年07月15日(水)

コラム・エッセイ

(51)サツマイモ(薩摩芋)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 葉が黄色くなり始めたので、思い切ってサツマイモを収穫することにした。家庭菜園の畑全体を覆いつくすほど茂っていたツルは、イモを堀る1週間前に切り取った。そうすることで、イモの甘みが増すらしい。

 畑の土が非常に固いので、イモずる式に収穫というわけには行かなかった。どこにあるのか分からないイモを傷つけないように、手探り状態で慎重に掘り進めていく。量が少ないので、大して時間はかからない。

 サツマイモの塊根(かいこん)は土の中で成長するため、他の作物のようにその成長具合を確認することができない。それだけに、予想が難しいかもしれないが、収穫する時の楽しみは大きいとも言えるであろう。

 思いがけず大きく育ったものもあれば、期待外れの小さなものもある。その結果に一喜一憂しながらの作業となる。今年は、鳴門金時と紅あずまの2種類を植えてみたが、どちらとも上々の出来具合であった。

 それは、栽培方法が良かったと言うわけではなく、瘦せた土地でも育つというサツマイモが持っている利点と言うべきであろう。肥料が多いとツルだけが伸びる「つるぼけ」が起きることからも明らかである。

 瘦せた土地でも育つことによって、他の農作物が不作の時でも「救荒(きゅうこう)作物」として大きな力を発揮することができる。実際に戦時中には、多くの場所が開墾されてサツマイモが栽培されていた。

 救荒作物には、サツマイモのほかジャガイモやソバ、ヒエなどがある。また、食料として利用される植物としてノビル、イタドリ、ナズナ、クサギなどの救荒植物があるが、中には、有毒のものも含まれている。

 飽食の時代と言われている現代では、飢饉(ききん)のことは忘られがちであるが、地震や戦争などで飢饉になる危険性があることを肝に銘じるべきであろう。サツマイモが救荒作物とならないことを願いたい。

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