2025年10月08日(水)

コラム・エッセイ

(51)サツマイモ(薩摩芋)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 葉が黄色くなり始めたので、思い切ってサツマイモを収穫することにした。家庭菜園の畑全体を覆いつくすほど茂っていたツルは、イモを堀る1週間前に切り取った。そうすることで、イモの甘みが増すらしい。

 畑の土が非常に固いので、イモずる式に収穫というわけには行かなかった。どこにあるのか分からないイモを傷つけないように、手探り状態で慎重に掘り進めていく。量が少ないので、大して時間はかからない。

 サツマイモの塊根(かいこん)は土の中で成長するため、他の作物のようにその成長具合を確認することができない。それだけに、予想が難しいかもしれないが、収穫する時の楽しみは大きいとも言えるであろう。

 思いがけず大きく育ったものもあれば、期待外れの小さなものもある。その結果に一喜一憂しながらの作業となる。今年は、鳴門金時と紅あずまの2種類を植えてみたが、どちらとも上々の出来具合であった。

 それは、栽培方法が良かったと言うわけではなく、瘦せた土地でも育つというサツマイモが持っている利点と言うべきであろう。肥料が多いとツルだけが伸びる「つるぼけ」が起きることからも明らかである。

 瘦せた土地でも育つことによって、他の農作物が不作の時でも「救荒(きゅうこう)作物」として大きな力を発揮することができる。実際に戦時中には、多くの場所が開墾されてサツマイモが栽培されていた。

 救荒作物には、サツマイモのほかジャガイモやソバ、ヒエなどがある。また、食料として利用される植物としてノビル、イタドリ、ナズナ、クサギなどの救荒植物があるが、中には、有毒のものも含まれている。

 飽食の時代と言われている現代では、飢饉(ききん)のことは忘られがちであるが、地震や戦争などで飢饉になる危険性があることを肝に銘じるべきであろう。サツマイモが救荒作物とならないことを願いたい。

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
スバル合同会計 周南事務所

相続時や建物の購入売却時の相続税・資産税のご相談。
大切に育てた事業の譲渡や事業の拡大にむけて、複数の専門業者との提携で、お客さまの求める結果を一緒に目指します。

東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。

周南公立大学

2024年春、周南公立大学は新学部学科を開設しました。経済経営学部(経済経営学科)、人間健康科学部(スポーツ健康科学科・看護学科・福祉学科)、情報科学部(情報科学科)の3学部5学科体制となりました。大学の活動や入試情報も随時公開中!

山田石油株式会社

ソロや友達と過ごす「おとなじかん」から、親子三世代で過ごす「かぞくじかん」も楽しめる日帰りレジャー施設「くだまつ健康パーク」。屋内で遊べる施設や岩盤浴、サウナも充実!