2025年10月08日(水)

コラム・エッセイ

(56) 一陽来復(いちようらいふく)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 早いもので、師走も半分が過ぎようとしている。15日には冬至(とうじ)をむかえる。歳時記カレンダーの冬至の注釈には「一陽来復のとき、昼が最も短いこの日から、日あしは徐々にのびていく」と記されている。

 その説明の通り、冬至は北半球において一年間で最も昼が短い日であり、夜が最も長い日でもある。その原因は、地球の回転軸が傾いていることにあるという。太陽と逆の方向に傾いている時に昼が短くなる。

 そして、冬至から徐々に日照時間が長くなっていくことを表した言葉に「一陽来復」がある。その言葉には、明るいきざしが感じられるようになることから、悪かったことが良い方向に向かう意味が含まれている。

 調べてみると、一陽とは「冬から春になる兆しのこと」であり、来復とは「再びやってくること」であった。それらしい間違いに、「来復」を「来福」としたものがあるが、本来の意味ではないので気を付けたい。

 さらに一陽には、「新年が来ること」の意味があるという。実際に、中国の古い時代には冬至を1年の始まりとしていたこともあったらしい。現在でも、冬至を「太陽が生まれ変わる日」として祝う国も多くある。

 ところが、冬至を過ぎてから本格的な寒さがやってくることから、冬至を春の始まりとすることには矛盾を感じる。しかし、これらの原因が、地球が温まるためには約1ヶ月半程度を必要とすることで納得できる。

 疑問はそれだけではなく、日の出が1年で一番遅い日と日の入りが一番早い日が冬至と一致しないことであろう。日の出が一番遅い日は冬至が過ぎてから、日の入りが一番早い日は冬至の前にやってくるという。

 その仕組みを完全に理解するには、専門的な知識が必要であろう。それよりも、冬至冬中冬始め(とうじふゆなかふゆはじめ)のことわざがあるように、冬至を冬の寒さの始まりとして乗り越えていきたい。

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