2025年10月08日(水)

コラム・エッセイ

(65) 紅梅(こうばい)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 最近、季節の移ろいが肌身で感じられるようになった。19日には、福岡管区気象台から、九州北部地方や山口県で「春一番」が吹いたとの発表があった。「春一番」とは、春先に吹く南寄りの強い風のことである。

 その暖かい風の影響で、気温も一気に14度をこえるまで上昇した。前々日には最低気温が0度を下回っていたことからすれば、考えられないほどの気温の変化であるが、この時季としては決して珍しいことではない。

 「三寒四温」という言葉があるように、寒い日が3日間続いたあとに暖かい日が4日間続き、また寒い日がくるといったことが繰り返されることによって、季節は行きつ戻りつしながら移り変わっていくのであろう。

 今こそが、季節の変わり目を実感できる絶好のチャンスかもしれない。特に立春の日(2月4日)から春分の日(3月21日)までの期間が要注目であろう。ちょうど、19日から二十四節気の「雨水(うすい)」がはじまる。

 「雨水」の意味は、雪から雨にかわり、氷がとけて水になることとされている。まだ雪がちらつく日もあるが、雨の日の方がかなり多くなってきた。風のない暖かい日には、川の流れも幾分ぬるんできたように見える。

 近くの畑では、すでに満開となった白梅(はくばい)もあるが、そのほとんどがちらほらと咲き始めたものばかりである。しかし、「三寒四温」を繰り返しながら、やがてすべての花が満開となる日も近いであろう。

 白色の花をつける白い梅を、「しらうめ」又は「はくばい」という。そのどちらの読みも正しいが、「白滝」を(しらたき)、「白鷺」を(しらさぎ)と読むように、白梅を「しろうめ」と読むのは間違いとされている。

 同じように、紅色の花をつける梅のことは、「こうばい」といい「あかうめ」とは言わない。どちらでも良いように思えるが、そこには日本語のこだわりと美しさが、まるで季節の移ろいのように込められている。

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。

サマンサジャパン

来院者の方へもっと目配り、気配りをしたい。物品の補充や搬送に時間を取られる・・・
サマンサジャパンでは医療従事者の方がより医療に専念できるよう、コンシェルジュ、受付、看護助手、清掃、設備など様々な業務を行っています。

株式会社トクヤマ

トクヤマは、電子材料・ライフサイエンス・環境事業・化成品・セメントの各分野で、もっと幸せな未来をつくる価値創造型企業です。

山田石油株式会社

ソロや友達と過ごす「おとなじかん」から、親子三世代で過ごす「かぞくじかん」も楽しめる日帰りレジャー施設「くだまつ健康パーク」。屋内で遊べる施設や岩盤浴、サウナも充実!