コラム・エッセイ
(69) 大根おろし
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
このところ、季節を先取りしたような暖かい日が続いている。その影響であろうか、家庭菜園に植えてあるダイコンの茎が伸びて、花芽がつき始めてきた。花が咲くと華やかで美しいが、決して望ましいものではない。
それは「トウ立ち」と言われる状態で、「トウが立つ」ことによってダイコンの成長が止まり、内部にすき間や穴が開くようになる。それを「ダイコンにスが入る」と言うが、スが入ることでダイコンの味も悪くなる。
しかし、「トウが立った」ダイコンであっても「スが入った」ダイコンであっても問題なく食べることができる。花芽は菜花と同じように茹でると良い。ダイコンも切り干しダイコンにするなど方法はいくらでもある。
最近では、葉っぱのついたダイコンが商店などで売られていないため、ダイコンの葉は食べられないと勘違いしている人も多いかも知れないが、そんなことは決してない。栄養価も高く、美味しく食べることができる。
販売されているダイコンに葉がついていないのは、食べられないからではなく出荷時の輸送コストなどを下げるためである。できることであれば、葉がついたままで売られている場所で買い求めることをすすめたい。
ダイコンの食べ方で、一番手軽な方法が大根おろしであろう。おろし器ですりおろすだけで、生のまま直接食べることができるので非常に簡単である。朝食の目玉焼きにのせても、夕食の焼肉にのせてもちょうどいい。
さらに、生のダイコンには、消化をたすける消化酵素が含まれているので、煮物にするよりも生のほうが効果が大きくなる。ビタミンCを多く含んでいる皮の部分も、捨てるよりもよく洗って利用すべきであろう。
家庭菜園には、「トウ立ち」したダイコンの花芽を摘んだものがそのまま残してある。その理由は、「大根おろしに医者いらず」と言われていることに習い、できるだけ長く大根おろしを食べ続けたいからでもある。
