2025年10月07日(火)

コラム・エッセイ

(95)紫蘇(しそ)の実

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 今年の夏は、とにかく暑かった。最高気温が35度以上の猛暑日や夜間の最低気温が25度以上の熱帯夜が連日のように続いた。その異常な暑さに、ついには体力だけでなく気力までもが失われていったような気がした。

 熱中症を心配するあまり室外に出ることを極力控えたことによって、家庭菜園の管理がおろそかになった。その結果、当然のように家庭菜園には雑草が生い茂り、今まで経験したことがないほど荒れた状態になった。

 雑草の中で野菜を育てる自然農法もあるらしいので、それを隠れみのにして管理不足の責任逃れをしたいところでもあったが、そう簡単にことは運ばなかった。植えていた夏野菜のほとんどが、無残な結果をむかえた。

 毎年、イヤと言うほどできるキュウリは、わずかに実をつけただけで早々と枯れていった。今年に限って、植える苗を少なくしたことが悔やまれてならなかった。ミニトマトは、実をつけることなく枝葉だけが伸びた。

 ナスビは、実をつけたものの大きく育つことはなかった。これらの原因が、管理不足だけとはとても思えない。気象庁の統計では過去126年で最も暑かったとされているように、猛暑の影響が多少あったのかもしれない。

 そんな中で、ピーマンだけが違っていた。すべての野菜の代役とはならないが、多くの実を収穫することができた。荒れ放題の菜園にもかかわらず元気に育ってくれたピーマンの姿が、いつになくたくましく見えた。

 さらに、元気な姿を見せていたのがシソである。シソは、いつもの年であれば、梅干し用の葉を取った後に引きあげていたが、今年はそのまま残しておいた。おそらく、暑さにも強いのであろう多くの花を咲かせた。

 そのシソの実は、意外にも美味しい。おすすめの食べ方は、天ぷらであろう。これほど美味しい食べ物が、他にあるとは思えない。花を咲かせた実が、徐々に熟していく微妙な変化の一つ一つを味わうことができる。

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
山口コーウン株式会社

「安全で 安心して 長く勤められる会社」をスローガンに、東ソー株式会社等の化学製品を安全かつ確実にお届けしています。安全輸送の実績でゴールドGマーク認定を受け、従業員が安心して働ける環境と「15の福利厚生」で従業員の人生に寄り添っています。

ピアレックス

遺品整理でお困りではないですか?県内出張見積は無料!不動産売却や空き家じまい(解体)もお気軽にお問い合わせください。

スバル合同会計 周南事務所

相続時や建物の購入売却時の相続税・資産税のご相談。
大切に育てた事業の譲渡や事業の拡大にむけて、複数の専門業者との提携で、お客さまの求める結果を一緒に目指します。

東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。