2026年07月15日(水)

コラム・エッセイ

(95)紫蘇(しそ)の実

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 今年の夏は、とにかく暑かった。最高気温が35度以上の猛暑日や夜間の最低気温が25度以上の熱帯夜が連日のように続いた。その異常な暑さに、ついには体力だけでなく気力までもが失われていったような気がした。

 熱中症を心配するあまり室外に出ることを極力控えたことによって、家庭菜園の管理がおろそかになった。その結果、当然のように家庭菜園には雑草が生い茂り、今まで経験したことがないほど荒れた状態になった。

 雑草の中で野菜を育てる自然農法もあるらしいので、それを隠れみのにして管理不足の責任逃れをしたいところでもあったが、そう簡単にことは運ばなかった。植えていた夏野菜のほとんどが、無残な結果をむかえた。

 毎年、イヤと言うほどできるキュウリは、わずかに実をつけただけで早々と枯れていった。今年に限って、植える苗を少なくしたことが悔やまれてならなかった。ミニトマトは、実をつけることなく枝葉だけが伸びた。

 ナスビは、実をつけたものの大きく育つことはなかった。これらの原因が、管理不足だけとはとても思えない。気象庁の統計では過去126年で最も暑かったとされているように、猛暑の影響が多少あったのかもしれない。

 そんな中で、ピーマンだけが違っていた。すべての野菜の代役とはならないが、多くの実を収穫することができた。荒れ放題の菜園にもかかわらず元気に育ってくれたピーマンの姿が、いつになくたくましく見えた。

 さらに、元気な姿を見せていたのがシソである。シソは、いつもの年であれば、梅干し用の葉を取った後に引きあげていたが、今年はそのまま残しておいた。おそらく、暑さにも強いのであろう多くの花を咲かせた。

 そのシソの実は、意外にも美味しい。おすすめの食べ方は、天ぷらであろう。これほど美味しい食べ物が、他にあるとは思えない。花を咲かせた実が、徐々に熟していく微妙な変化の一つ一つを味わうことができる。

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