コラム・エッセイ
周南新百景(71) 鷹ノ泊山 (下松市下谷)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
県道41号を下谷山中の大きなカーブで左折して、急な坂道を登って行く。無人となった民家の横を通り過ぎると、道はさらに狭く急になる。車輪いっぱいに山の斜面と深く落ち込んでいく崖が迫ってくる。
山中の駐車場から「西平谷ハイキングコース」を徒歩でたどる予定であったが、入口を通り過ぎたために引き返すこともできなくなった。見通しの悪い急なカーブの向こうから対向車が現れないことを願いながら進む。
不慣れな者にとってはいかに危険で不便な道であっても、地域の生活には必要不可欠な道であることに違いないであろう。不用意にも入り込んだことを深く反省した。
やっとの思いで、西谷にある駐車場に到着した。今度こそは車道を歩いて平谷の峠に向かう。鷹ノ泊山の登山口には標識があり、わかりやすい。頂上にはおよそ10分程度で到着する。
遺構に取りつけられた説明板によると、施設は照聴所(しょうちょうしょ)と呼ばれたもので、敵機の飛来を聴音機によってとらえ探照灯で照射することが任務となる計画であった。
中心となっているのが指揮所で、その先には崩れかけた探照灯の施設がある。聴音機は、指揮所の手前の一段高い場所に設置されていた。円形に掘られた中央部には台座らしきものが残されている。
これらの施設は実際に使われることはなかったとされているが、西谷には昭和20年(1945)5月10日の徳山大空襲時のB29による着弾跡が今も残されている。
