コラム・エッセイ
周南新百景(18) 神具岩(こうぐいわ)(周南市須々万)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
周南市須々万高原のほぼ中央を流れる須々万川に沿って、飛龍橋からさらにさかのぼると、上流に行くにつれて狭くなった川の流れと道路の間に巨大な岩が現れる。その岩の突然の出現は、衝撃的である。
周辺を見まわしても、小高い山があるだけで、ほかに岩があるような所は見当たらない。そのことが、岩がどこから来たのか、なぜここにあるのかという疑問をなお一層高める理由にもなっている。
大岩の形はおおむね丸いと言えるが、見る方向によって印象が違ってくる。すぐ横の道路側から見ると、垂直に切り落とされたような断面があることから、何らかの手が加えられたように感じられる。
一番整った形に見えるのは、やはり西側からであろう。だ円形とも台形とも言えるその姿は、『防長寺社由来』に「その形丸して帯を引廻し鞠(まり)に似たり」と記されている。
その中で帯に見立てられているのが、大岩を二分するように横に走る亀裂と思われるが、『防長風土注進案』では影向(ようごう)の時に神具を納めたとされる神具箱のふたに見立てられている。
影向とは神仏が一時姿を現すことをいい、すぐ近くにある飛龍八幡宮由緒書には京都男山(石清水八幡宮)から影向があったとし、影向の大石を神具岩と言うと伝えられている。
最近では、月が地球に最も接近した時の満月をスーパームーンと呼んでいる。そのスーパームーンを目前にしたこの日は、いつもより大きく見える満月が神具岩の後方で輝いていた。(画家)
