コラム・エッセイ
「繁太郎さん、完成ですよ」
周南漫歩◎「繁太郎さん、ついに完成ですよ」―そんな声を出したくなった。島田川の光市の水利権を工業用水に転換し、水系を超えて周南コンビナートに供給する島田川工業用水の通水式でのことだ。
◎繁太郎さんとは故山本繁太郎前知事のこと。国土交通省審議官や内閣官房の地域活性化統合事務局長を務めた地域振興のエキスパートだ。帰郷して自民党から衆院選山口2区に出馬するも、民主党の全盛期ゆえ2連敗。県知事選の最中には体調を壊して選挙カーに乗れなくなり、当選して県庁に初登庁しても翌日から入院するという不運に見舞われた。
◎そんな繁太郎さんが手がけたのが島田川工業用水だ。水系を越えて工業用水を供給するなんて全国的に例がない中、官僚時代に培った豊富な経験と人脈で、わずか1年でこの計画をまとめ上げた。
◎そんな繁太郎さんも任期半ばで辞職、死去した。しかしこの計画は繁太郎さんが敷いたレールの上を後任の村岡知事がしっかり進めて完成させた。きっと天国からほっとした気持ちで通水式を眺めていたのではないか。
◎だからこそ繁太郎さんを衆院選挑戦時代から知る筆者は、繁太郎さんに語りかけたくなった。これでコンビナート各社が自主節水を繰り返すことも解消され、設備投資の促進や雇用の拡大に大きく貢献するだろう。そんな大事業を成し遂げた繁太郎さんの人柄、実績は永く語り継がれるに違いない。(山上)
