コラム・エッセイ
【周南】取材源の秘匿
周南漫歩◎気のせいかもしれないが、取材先で「あの記事は誰に話を聞かれましたか」と問われるケースが増えた。もちろん口外できない。報道に携わる者の基本的な倫理として「取材源の秘匿」が位置づけられているためだ。
◎取材源の秘匿とは情報源の人物を特定できる情報を他に漏らさないことだ。これは情報源と記者との信頼関係を保護し、情報源を萎縮させずにさまざまな情報を取材して国民に伝達していく上で不可欠だからだ。
◎それによってはじめて捜査当局や企業などが発表しない事実を報道できる。日本新聞協会も取材源の秘匿を「報道機関が何より優先すべき責務であり、記者にとって究極の職業倫理」としている。
◎このことは判例もある。1979年8月に札幌高裁は民事訴訟の判決で「取材源を公表しないという信頼関係があってはじめて正確な情報が提供されるのであり、従って取材源の秘匿は正確な報道の必要条件である」とし、取材源秘匿は民事訴訟法上の「職業の秘密」に当たるとした。
◎「こんな情報、誰が記者に話したんだろう」と思う気持ち自体は自然なものかもしれないが、だからといって記者が情報提供者の公開を繰り返すと、精度の高い報道の頻度は低下し、結果的にそれは国民の利益にならない。だからこそ「取材源の秘匿」は我々報道に携わる者がしっかり守っていかなければならない。(山上達也)
