コラム・エッセイ
周南市美展賞受賞の縁
周南漫歩◎周南市美術展の写真部門に応募し続けて6回目。今回出品した「姉さん 姉さん 弟だよ」が、これまでに受けたことのない「市美展賞」に選ばれた。写真部門の中では市美展準大賞(1点)に次ぐ賞で、今回は5点が選ばれている。
◎被写体はフルリクライニングのストレッチャー型の車椅子に乗った88歳の女性で、その女性の実弟が腰を落として話しかけている構図。弟は笑顔で話しかけているが女性の表情はうつろだ。その2人の様子をスマートフォンで撮影している別の弟の妻の様子も写り込ませた。
◎この写真は記者としての業務で撮影したものではなく、休日に私事で出向いた場で偶然撮ったものだ。その時は「あとで弟さんにこの写真をプレゼントしよう」ということしか考えなかったが、あとあと「市美展に出してみよう」という気になった。
◎この作品の市美展賞受賞は、女性の娘さんやご親族に大変喜ばれ、感謝された。とくに娘さんからは「母の米寿の記念になります」とお礼を言われ、会場に花束までお持ちいただいた。
◎聞くと女性のご主人は旧徳山曹達で役員を務めた故国広明さんで、当社の中島進社長とも交友が深かった人だった。1987年の県議選に石川泉助県議の後継者として徳曹の全面支援で出馬を表明したものの、告示を前に急逝し、多くの人が若き死を惜しんだ。
◎そんなエピソードがあることも知らずにとっさの思いでシャッターを押し、ダメ元で応募した結果の受賞だった。たった1回のシャッター、1枚の写真からここまで過去にさかのぼるご縁が広がるとは思わなかった。永遠に回り続ける歴史の舞台で、これからどんな人とどんな巡り合わせがあるのか、人生が続く限り興味は尽きない。
(山上達也)
