2026年04月30日(木)

コラム・エッセイ

夏休みのそれから

ちょこっと豆知識 立入塾

 縁側に座布団を持ち出し、気楽にあぐらをかいて文庫本の活字をのんびりと追っていく。とはいかないので、部屋の窓を開け放ち、扇風機の風を強めに設定し、パソコン画面の横書きの夏目漱石を読み進めていくことにしました。私のささやかな夏休みです。

 選んだ作品は「それから」。漱石の代表作の一つですが、ずっとこの作品は避けていました。「それから」に初めて触れたのは高校の国語の教科書でした。全17章から成る作品の最後の第17章だけが教科書には載っていました。一通り読むだけでもかなり手ごわかった印象ですが、授業はそれ以上に難しかったと記憶しています。

 作品のクライマックスとなる最後、主人公は街に飛び出し、そこで目にするものがすべて赤くなり、作品は幕となります。授業で、その時の主人公の気持ちを考えさせられたこと、そして当時の私には全くと言ってそれがわからなかったことだけが記憶に残っています。(国語が苦手科目になった瞬間でした)

 それから漱石の作品は幾つか読んで来ましたが、「それから」だけは単純に小説を楽しむと言った安易な気持ちで読んではいけないものとして自分の心の中に引っ掛かっています。今回は、そろそろ読んでみても許されるのではないかと思い、チャレンジした次第です。

 すでに30歳になる主人公、代助は、実業家として成功した父とその事業を手伝う兄の援助によって仕事にも就かず読書や散歩で一日を過ごす日々を送っています。そんなある日、彼が仲を取り持って結婚した平岡夫婦が援助を求めて現れます。代助は学生時代の友人、平岡のためではなく、妻、三千代のために骨を折ります。

 父や兄から再三にわたる結婚の勧めを断り続けていた代助は、実は友人の妻、三千代のことがずっと気になっていたのでした。ついに三千代との結婚を決意した代助は、友人の平岡からも、父や兄からも裏切り者として絶縁されてしまいます。そして仕事を求めて街へ飛び出すのでした。

 明治42年の作品ですが、現代のドラマでもありそうな話です。とてもわかり易い作品でした。最後だけを読んで感想を求められた高校の授業はどうも納得がいきません。

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