2026年10月23日(金)

コラム・エッセイ

オオバコとけんけら

ちょこっと豆知識 立入塾

 少し大きめのタンポポと言った感じのオオバコは、濃い緑の葉と虫の触覚のように伸びた花茎に茶色がかった緑色の花をつける雑草で、道路脇や空き地などで普通に見られます。オオバコの葉や種子はせき止めや熱さましの効用があるとして昔から民間薬的に使われてきました。

 小学校に上がったばかりの私は、近所に住んでいた「福井のおばちゃん」とオオバコ摘みに出かけるのがそのころの日課でした。当時、おばちゃんが幾つぐらいだったかはっきりとは知りませんでしたが、すでに働いているお子さんと、時々私の遊び相手をしてくれる高校生の娘さんがいました。

 私は学校から戻ると一目散におばちゃんの家へ向かい、2人でカゴを持ってオオバコ探しに出かけました。集めた葉っぱは、すり鉢で擦りつぶし布に包んで絞ってそのまま飲むのだと説明してくれました。おばちゃんは、それを飲み続けているので病気にならないということです。しかし、一度だけ頼んで飲ませてもらった絞り汁は、二度と口に含みたいとは思いませんでした。

 おばちゃんの名前は吉田でしたが、福井からご主人の仕事の関係で山口に来られていたので、私の家族は「福井のおばちゃん」と呼んでしました。おばちゃんは時々、実家のある福井へ帰省され、その度に必ずお土産の地元のお菓子「けんけら」を私に渡してくれます。とても硬いのですが、おいしい「けんけら」をついつい食べ過ぎてお腹を壊していたことをよく覚えています。

 調べてみると「けんけら」は福井県大野市の伝統的なお菓子で、大豆の粉に水あめや砂糖を加えて練り、薄く延ばして焼き上げた硬いお菓子とあります。おばちゃんの実家が大野市であったことを今初めて知りました。

 吉田一家は私が高校へ上がる前には、再びどこかの街へ引っ越しされ、その後の音信は全く不通となってしまいました。この季節になると、道端のオオバコを見る度に「けんけら」とおばちゃんを思い出します。

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