コラム・エッセイ
歴史の先生
ちょこっと豆知識 立入塾「君、それってコモンセンスだよ」が口癖だったのは、私が高2の時の日本史の担任です。背丈はそれほどではないのですが、恰幅が良く声の大きい男の先生でした。先日、中3の英語の授業で「common(共有の、一般的な)」と言う単語が出てきた時、ふと「common sense(常識)」が口癖だった日本史の先生の記憶が甦って来ました。決して日本史の授業が嫌いだったわけではないのですが、コモンセンス以外授業の内容は何一つ憶えていません。日本史の授業を思い出そうと努力している私の頭に浮かんだのは、世界史のN先生でした。
日本史の先生とは対照的に痩せた小男で、ボソボソと話す説明は聞き逃さないようにと注意してないといけません。私は世界史の授業が大好きでした。その先生の決してテストには出ない歴史のこぼれ話がとても楽しいものでした。本題は板書しながら丁寧に話されるのですが、こぼれ話になると、教壇に両手を突き、明らかに声のボリュームをあげニコニコと話されます。そして話には必ず落ちがありました。
「お寺に五重の塔のような多宝塔ってあるでしょう。あれって仏塔なんです。で、仏塔ってのはお釈迦様のお墓です。だから仏塔には必ず仏舎利が収められています。この仏舎利は文字通り仏様の遺骨なわけですが、世界中の仏舎利合わせるとお釈迦様はとんでもない巨人ってことになりますね」「ガリレオが地動説で宗教裁判受けたでしょう。当時教会は凄く権力持ってて。で教会側はなんで天動説かって言うと、旧約聖書のヨシュア記でヨシュアが主(神)に日が沈むの止めて欲しいと願うのですが、主は願いを聞き入れて太陽をしばらく止めたと言うのがあるのです。で、神が止めたのは太陽だからって理由で天動説だったのですよ。当時の知識人達の間では地動説は常識だったのですが」
N先生は世界史が本当に好きだったと思います。専門の知識に詳しい先生、専門の事が本当に大好きな先生。理想の教師像は両方とも兼備えることなのでしょうが、私は後者だけで十分だと思います。
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