2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

日清戦争の検疫話

随想 猫の目 吉原 雍

 《シルクロードの爪楊枝(つまようじ)♪》

 昔、中国のシルクロードのオアシスの市場で爪楊枝を売っていた。

 それがなんと「メイド・イン・ジャパン」だから大笑いした。(笑)

 三井物産の知人からこんな話を聞いたことがある。

 「明治時代の先輩たちは、色んな日本製品を地球の果てまで売って歩いた。」

 だからひょっとして、あの爪楊枝の元祖は物産マンかもしれない。(笑)

 昔の日本人がいかに体力、気力、知恵、夢と希望を持っていたかをしのばせる、いい話だ。♫

 こんな話を思い出したのは、コロナウイルス発生源の中国のニュースで「エレベーターのボタンを(不衛生だから)爪楊枝で押す」シーンを見たから。(笑)

 《1895年、陸軍似島検疫所設置》

 さて次もコロナ関連だが、時は日清戦争終結間際の明治28年4月1日。

 「広島市宇品港傍の似島に検疫所を設置し、6月に朝鮮から帰還予定の兵23万人のコレラ、腸チフス検疫と消毒、軍艦700隻の消毒を実施せよ」の命令が出た。

 責任者は大本営参謀兼陸軍次官の児玉源太郎で、さっそく友人の石黒軍医の推薦で、元内務省衛生局長・後藤新平を事務官長に抜擢した。

 2人は初対面。

 「私は医者なので軍人相手はできません。」「軍人は俺にまかせて君は好きなようにやれ。責任は俺が取る。」「ハイ。」

 「カネはいくらいるか。」「100万円(今の一・五兆円?)。」「よし、150万出すから大至急完璧な施設を作れ。」「ハイ。」

 才能ある人物にカネと全権を与え責任は自分が取る。金は出すが口は出さん…後年の台湾、満鉄へと続く名コンビの始まりだった。

 2か月後の6月1日、似島検疫所が開所し世界が驚いた。

 今の東京ドームの1.7倍の土地に193棟の施設は当時世界一。それをたった2か月でアジアの小国日本が完成した!!

 《検疫、消毒》

 階級を問わず全将兵に徹底し、軍医が異常なしと診断したら離島。異常者は疑似、真性に分け、ペスト病室、回復室に収容した。

 消毒は、検疫結果を待つ間に20分入浴し、異常なし者は離島時に、熱蒸気消毒済み(北里柴三郎考案)の所持品を戻された。

 秋口の検疫終了まで後藤は立ちっぱなしで仕事をし、コレラ患者700人を隔離した。

 この年、日本のコレラ患者は5万5千人、内4万人死亡。だが翌年の死者は数百人で、後藤の水際作戦が成功したとされる。♫

 《ウイルス騒動でかき消されそうな話、次回!!》

(ギャラリー三匹の猫)

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