2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

もの思わせる春の雨

随想 猫の目 吉原 雍

 《春雨(はるさめ)》

 昨夜から雨が静かに降っている。木や花、万物を、優しくはぐくむ春雨…とくれば思い出すのがあの芝居。

 祇園の芸妓・雛菊が、恋人の月形半平太に優しく傘をさしかける。

 「月さま、雨が」

 「春雨じゃ、濡れてゆこう」

 春雨には、少しくらい濡れてもいいやと思わせる風情があるんだ。

 さて、この月さまのモデルは土佐藩の尊王攘夷の志士・武市半平太だが、親幕府派の藩主・山内容堂に嫌われ、36歳で切腹して果てた。

 薩摩、長州に比べて、土佐藩の明治維新の活躍ぶりが見劣りするのは、早くに武市を失ったためと言われたほどの人物だった。

 明治維新のころ、長州藩でも徳山藩でも藩内に正義派(倒幕)と俗論派(佐幕)の勢力争いがあって、多くの有能な武士が命を落としたものだった。

 あのころも いまも そぼ降る 春の雨

 《桂小五郎》

 余談だが、長州人としてはあの芝居の主役は、西郷隆盛と薩長同盟を結んだ桂小五郎(後の木戸孝允)にしてもらいたかったね。(笑)

 桂と芸妓・幾松(後の正妻・木戸松子)のロマンス、桂の付け人をしていた伊藤博文が、後に語った話をご紹介しよう。 

 「桂さんは、祇園一の美妓・幾松さんに一目ぼれし一緒になろうとしたが、邪魔がおってうまく行かん。

 そこで見かねたワシが乗り出し、最後には刀にかけて、邪魔者に手を引かせたんじゃ」

 維新後に桂が、若い不遇時代を支えた幾松を正妻に迎えた話は有名。

 また明治10年、桂が44歳で病死した後、松子は髪を下ろし、生涯、霊を守った。

 その明治10年は、西郷が西南の役で敗れる年でもあったが、桂の最期の言葉は「西郷、もうこの辺で、ええじゃろう」だったという。

 (お互いに、もうええじゃろう。明治の新時代も、不備はあるが、まあ一息ついた。思えば西郷も、わしも、ようやった…)

 《危うし、ソメイヨシノ》

 話変わって、サクラサクのいま、とんでもないニュースが流れている。

 「日本のサクラの70%を占めるソメイヨシノの寿命が5、60年しかない」と。

 ということは、戦後まもなく植えた桜の大半が、遠からず枯れてしまうということ。

 徳山の桜馬場も桜並木も、計画的に早く、若木を補充しないと絶滅してしまうよ!!

 《花粉症のスギ》

 そこで気になるのがスギの寿命だが、桜と同じく5、60年らしい。

 ただしこちらは5、60年のタクトで伐採、使用、植樹と好循環しているとかで、不滅!!(笑)

 (ギャラリー三匹の猫)

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
出光興産

出光興産徳山事業所は、エネルギーと素材の安定供給を通じて産業や暮らしを支えています。環境負荷低減や安全操業に取り組み、地域とともに持続可能な社会の実現に貢献していきます。

サマンサジャパン

来院者の方へもっと目配り、気配りをしたい。物品の補充や搬送に時間を取られる・・・
サマンサジャパンでは医療従事者の方がより医療に専念できるよう、コンシェルジュ、受付、看護助手、清掃、設備など様々な業務を行っています。

周南公立大学

2024年春、周南公立大学は新学部学科を開設しました。経済経営学部(経済経営学科)、人間健康科学部(スポーツ健康科学科・看護学科・福祉学科)、情報科学部(情報科学科)の3学部5学科体制となりました。大学の活動や入試情報も随時公開中!

株式会社トクヤマ

トクヤマは、電子材料・ライフサイエンス・環境事業・化成品・セメントの各分野で、もっと幸せな未来をつくる価値創造型企業です。