コラム・エッセイ
さまざまの雪♪
随想 猫の目 吉原 雍《にわか雪》
三匹の猫の2階の窓からぼんやり夜景を見ていたら、突然、横なぐりの雪になった。一昨夜零時ごろ、時限装置みたいに。
国道2号線が見る見るうちに雪に覆われ、一帯は暗い闇と白い雪だけの世界になった。
車の数もめっきり減って、黒と白の世界の中、交差点の信号機の赤と青だけが点滅していた。
《弱いな》
周南は雪が少なく、僕が子どものころも町なかでは大して降らなかった。
同じ周南でも山間部には雪が降るが、それだって、北海道や北陸ほどではない。
そんなわけで僕たちは雪の経験に乏しくて、僕も昔、苗場かどこかで2回捻挫(ねんざ)してから、とんと縁遠くなった。
だからもっぱら他人の体験を拝借して仮想雪体験をしている。(笑)
《思い出す雪シーン①》
高校時代に見た映画「人間の条件」のラストシーンは満州の大雪原。関東軍に召集された主人公は脱走し、行き倒れる。
五味川純平の小説もたしか「翌朝、人間のかっこうをした雪の固まりができた」みたいな描写で終わっていた。
主役は仲代達矢。奥さん役の新珠三千代がかれんできれいだった。夫を追って満州へ渡り、夫と共に炭鉱や軍隊の理不尽さと戦う。
だが、その夫も倒れ、物語に明るい展望はない。日本が敗戦に向けて転がり落ちた、あの暗い時代に降った雪。
《雪シーン②》
元禄時代、赤穂浪士の忠臣蔵の雪のシーンはあまりにも有名だが、幕末、桜田門外の変の雪シーンもいい♪
大老・井伊直弼は安政の大獄で反幕府派を弾圧し、徳川斉昭、一橋慶喜、松平春嶽らを蟄居(ちっきょ)謹慎させ、橋本佐内、吉田松陰らを処刑。
これに怒った水戸浪士らが桜田門外で登城途中の井伊大老を斬殺した事件。明治維新に先駆けること8年前、3月の雪の朝だった。
《雪シーン③》
昭和11年2月26日、陸軍の皇道派青年将校らが軍部内閣設立を企画し、首相や大臣を殺害、国会占拠などをしたが、失敗した。
この事件を収拾した陸軍の統制派が、以後、軍部独裁体制を確立し、日本を戦争拡大、敗戦への道に追いやったとされる分岐点。
事件処理は闇から闇。首謀者の青年将校らは全員銃殺、兵士らも全員満州へ異動させられた。
世にいう2・26事件の朝、東京は大豪雪だった。
《いま、冬のオリンピック中》
4年に1度の日のために鍛錬した選手たちが、大雪と大風に苦しんでいる。
メダルなど気にせず楽しく戦っておいで!!
《最後に三匹の猫》
いま、地元作家8人の「創作人形・ひな展」開催中♪
(ギャラリー三匹の猫)
