2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

西部戦線異状なし♪

随想 猫の目 吉原 雍

 《東日本大震災を経験して・続》

 あの時、日本人はこれまでの生き方を変えようと思った。

 太刀打ちできない大自然の猛威を知って、もっと謙虚に生きようと思った。

 壊れたらコントロールできない原発は、なんとか停止しようと思った。

 カネや物より、心の豊かさを重視しようと思った。

 だが今や、大半の日本人は誓いを忘れたみたい。怒った神様が日本人を再び奈落の底に突き落とすかもしれないね。

 《例えば原発》

 立派なのはドイツ。彼らは福島を見て、2022年末までに原発を廃止すると決めた。

 そして原発の燃えカス処理や代替エネルギーの開発に取り組んでいる♪

 残念なのは安倍首相の親友・アメリカのトランプ政権。彼が提案した環境対策予算は従来の三割カット。

 ほかにも教育、医療、住宅、途上国支援予算をカットし、軍備増強や、メキシコ国境の5メートルの壁建設などに振り向けている。

 自分の国と国民が一番可愛いのはどこも同じ。だが世界協調や民主主義の大切さも、2000年の歴史の中で人類が学習したはずなのに、コロリと忘れている。

 《実はポンペイ壁画を》

 山口市の県立美術館で観た時、現代人は高度の文明を誇るけど、すでに1700年前のローマに、こんな心豊かな暮らしがあったのかと感心した。

 古代ローマ人が描いた理想の人生像が、今の人類にもけっこう共感できるじゃないかと。

 それにしてもあの壁画と多数のローマ人を、一昼夜にして5メートルの火砕流で埋めてしまった火山の猛威!!

 そして1700年の地底の眠りから覚めた壁画たちの、赤や青の色彩の豊かさ!!

 もしいつか東京か横浜が同じように埋もれたら、我々は後世に何を残せるだろうかと、改めて感じたよ。

 《西部戦線異状なし》

 話変わって、第一次大戦のドイツ軍を書いたレマルクの小説「西部戦線異状なし」をご存知だろうか。

 主人公の青年はきれいなチョウに手を伸ばしつつ銃弾に倒れるが、その日の本部報告は彼の死など無視し「本日、西部戦線異状なし」。

 南スーダン派遣の陸上自衛隊の「戦闘中で危険」という日報を、日本の本部で「隠ぺいした」事件を追及する最近の国会を見ながら、僕はこの小説を思い出した。

 国有地の払い下げ交渉記録を「破棄した」と財務省が言う大阪の森友学園事件も同根かな。

 ドイツはあの後でヒトラーが登場し、日本も戦争へと突き進んだ。これが歴史の教訓だ。

 《最後に三匹の猫》

 いま「春らんまん 素敵な版画展」開催中♪

(ギャラリー三匹の猫)

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