コラム・エッセイ
昔の良き日本の人情‼
随想 猫の目 吉原 雍《山本周五郎作・柳橋物語》
山本周五郎と言えば「樅ノ木は残った」などで有名な作家だが、実は先日、周南市文化会館で前進座公演の「柳橋物語」という芝居を観た。
その時知ったのだが、作家の本名は清水で、山本周五郎は小学校を卒業して丁稚奉公した銀座の質屋の主人の名前。
奉公の合間に原稿を書いてはあちこちに投稿する清水少年を、温かく見守ってくれたこのご主人の名をペンネームにしたという。
ついでに言うと山本周五郎は「日本婦道記」で直木賞に選ばれたが、辞退した唯一の作家らしい。
もう一つ、彼は自分の小説が芝居化されるのを嫌ったが、前進座だけは特別に許可したとか。
作家という人種は難しいね。(笑)
《さて柳橋物語は》
昭和21年、自身の体験を書いた作品とか。空襲で亡くした乳飲み子の息子や、病身だった妻を思わせる人物が登場する。
時代は江戸の元禄、舞台は下町の柳橋。大阪に旅立つ恋人から「戻るから必ず待っていてくれ」と言われ、感傷的になって「待つわ」と約束してしまった娘の波乱の生涯。
男の帰りを待つ数年間に地震、大火事、洪水が起き、家を失い、家族や友人が亡くなり、娘も記憶喪失症になる。
その混乱の中でも隣近所で助け合う庶民の姿は、先の東日本大震災にも引き継がれ、欧米人を感動させた日本人の美徳だ。さすがは名作、時代を超えて訴える。
さて娘は、記憶喪失直前に火事場で救った乳飲み子ともども、見知らぬ他人に助けられて暮らしている。
一方、娘には無償の命がけの愛を捧げる別の男がいて、洪水の時も彼が助けに来た。
「ここに橋があったら皆が助かるのに‼だがお前だけは絶対に死なせはしないぞ‼」
と男は言ったが、濁流にのまれてしまう。
やがて男が願った「柳橋」が完成した日、彼の真の愛情に気づいた娘は仏前で言う。
「これでやっと夫婦になれたわね」
そしてあの乳飲み子を二人の子として育ててゆこうと、改めて決意するのだった。
昔の日本人が持っていた優しくて美しい心を思い出させる芝居でした♪
《それに引きかえ》
最近の日本は(千葉PTA会長、大阪森友、東京魚河岸など)、世界も(トランプ旋風、シリア・サリン、北朝鮮など)、やりたい放題、何でもありの風潮で困ったものだ‼と嘆くのは僕だけだろうか。
《最後に三匹の猫》
30日まで「若手作家の、萩焼・ガラス・うつわ展」開催中🎶どうぞ手に取ってお楽しみください♪
(ギャラリー三匹の猫)
